【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「ああ。マクスウェルのおっさんだが、今は外せない任務に就いている。新規の団員を紹介してくれる予定だったが、第2機動騎士団で現在も作戦行動中だそうだ」
マクスウェルのおっさんこと、第2機動騎士団団長にして円卓の最年長(といってもまだ20代後半だ)マクスウェル・アンドルーズは、辺境で発生した反乱の鎮圧に駆り出されていた。新団員の少女、マリアナ・アンダーセンも同行しているという。
帝国の侵略を契機に、連邦内部ではこうした不穏な動きが加速しており、前線とは別に内部の反乱分子に忙殺される日々が続いていた。
「そして……ヒルデガルドとユースティアは、帝国に囚われたままだ」
「けっ、どうせ寝返ったんだろ。裏切り者め」
ラファエルが椅子の背もたれに深く体重を預け、不機嫌そうに吐き捨てる。
「ラファエル、まだそうと決まったわけではない。憶測で同胞を貶めるな」
「へいへい」
「俺は、彼女たちが必ず戻ってくると信じている。そのためには、早急に帝国軍を打倒しなければならない」
アラスは反抗的なラファエルを流し、本題へと切り替えた。
「奇しくも今日、連邦と帝国の休戦協定が期限を迎える。おそらく、それほど間を置かずに再戦の火蓋が切られるだろう」
半年前、苦肉の策として締結された6ヶ月の停戦。その期限が今日、ついに尽きようとしていた。霊電子艦隊の偵察によれば、帝国艦隊は連邦領内のカノープスおよびサルガス両運河に集結しつつあるという。当然、連邦もその対岸に大艦隊を並べていた。運河という回廊を挟んで、いつ大規模な衝突が起きてもおかしくない状況だ。
「我々も各機動騎士団を率いて戦闘に参加することになる。帝国軍のHFは強靭だ。その主力機ティーガーに関する最新情報を共有するのが、今回の会合の目的だ」
円卓の騎士団は単なる社交場ではない。12貴族出身者としての権限を活かした技術情報共有が行われる、実利的な場でもある。最新の戦術データは、パイロットの生死を分けるほど貴重なものだ。
「カタリナ、照明を落としてくれ」
「はい」
カタリナが資料投影のために部屋を暗くしようとした、その時だった。
会議室が、眼を焼くような真っ白な光に包み込まれた。
「な、何だ!?」
誰も何も操作していない。光源は窓の外――夜の闇を裂いて、暴力的なまでの輝きが降り注いでいた。
団員たちは弾かれたようにベランダへと飛び出した。
この建物があるのは連邦首都の惑星ロードン。ロードンには地球と同じく一つの衛星が存在する。慣例的に『月』と呼ばれるそれは、公式名を「スティーブニッジ」といい、連邦首都防衛隊の基地が置かれている。満月であっても淡い青色を帯びて見えることから、
だが、眩い光が収まった空には、二つの月が並んでいた。
新しく現れたそれは、血のように不気味な輝きを放つ赤き月であった。
続く