【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
「な、なんだあれは!」
ベランダで叫んだビリーの問いに答えられる者は居ない。
連邦首都ロードンの夜空に2つの月が浮かんでた。
ロードンは一つの衛星しか持っていない。暗い赤色の月は突然現れた。それは元々の青い月と同じくらいの大きさ。映像などではなく実在感がある。よく見ればクレーターのようなものも見えた。
円卓の団員だけでなく、他の軍職員も騒ぎ始め、窓やベランダから身を乗り出して新たに出現した月を見ている。少し遅れて警報が鳴った。ここまでくると幻などではないようだ。
この突然の天体ショーに驚愕していると、部屋の会議用ビジョンパネルが突然なにかを映し出した。
『良い月夜だな。連邦の諸君!』
画面には、傷だらけの顔が。
『余は、汎ペルセウス帝国皇帝フリードリヒⅣ世である!』
皇帝の顔は会議室だけでなく、繁華街などの看板でも映し出されていた。全周波数に対してのハッキングが行われている模様。首都の誰もが皇帝に注目する。
『余は月に居る。もちろん青き月ではないぞ?この月は元々地球の衛星だったものだ。その月が今は、連邦首都ロードン星にある。それがどういうことか分かるな?』
「ばかな!?月が移動してきたということか!?」
皇帝の声に団長アラスが反応した。
月のような巨大なものを動かすのは、実は珍しくない。岩石衛星を資源の採掘などで運ぶこともあったり、彗星を目的の場所まで移動させたりする。そもそも祖先が地球を脱出するときの宇宙船として小惑星をくり抜いたものが使われていた。重力制御によってゆっくりではあるが巨大質量のものを動かせる。
しかし赤き月は、突然ここに現れた。
皇帝の言うことを信じるのであれば、地球という辺境から、ここまで移動してきたということになる。太陽系から連邦首都星系まで来るには、とてつもない距離が必要。それだけでなく、重力偏重の巨大な壁がある。その壁は
そもそも運河を通過するにも、条約期限切れで連邦軍と帝国軍が両端から睨み合っている状況だ。見つからずに済むわけがない。
「いや?そもそもどうやってここまできた?」
アラスは、先ほどの白い光を思い出していた。あれは 次元弾道跳躍
しかし惑星の至近への着空は今の技術では不可能だ。どうしても惑星か最悪恒星に引き寄せられて直撃してしまう。
『そうだ。本来であれば、この直径3,474kmの衛星をここまで移動させるのは不可能だ』
まるでアラスの疑問を聞いたように皇帝が答えた。
『だが、現に余はここに来ている。答えは単純だ。今の技術以上のテクノロジーで月をここまで運んできた。それは12貴族がひた隠しにして来た古代の技術だ!』