【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-D

 人々が大勢集まり、準備が整った会場に放送が響き渡る。

 

『観閲官、大元帥臨場!』

 

 観閲官を務める大元帥つまり帝が、会場中央の道路に入場してきた。

 

 防弾、対爆仕様の皇族専用車に搭乗し窓から手を振っている。帝と一緒に少女も同乗していた。ロングの黒髪にサイドを頬のあたりで短くカットした所謂姫カットの美少女だ。

 

「あ、ミヤコ殿下だ!やっぱり美人だなー」

 

 観閲席で敬礼していたユイが思わずといった感じで声を上げる。帝の長女であるミヤコ内親王殿下のことだ。

 年齢はユイの一つ上の16歳で、帝と一緒にこういう公式行事にも参加している。帝の子供は他に男の子が一人居るが、まだ幼いため行事には出てこない。

 

「ユイは、ミヤコ殿下と直接会ったことあったんだっけ?」

「うん、何度もお会いしたことあるよ。小っちゃい頃に一緒に遊んだこともあったっけ」

 

 敬礼したままのナユの問いにユイは答える。名家である横田家は皇族と近しい関係にあり、ユイもミヤコ殿下と仲良く交流していた。

 

「へー、すごいね」

「まー、学校も違ったし軍に入ってからは全然だけどね」

 

 帝が紅白の垂れ幕で装飾された席に付くと、再び放送で宣言される。

 

『観閲官に対し栄誉礼!』

 

 特別儀仗隊と音楽隊による栄誉礼が行われた。演奏される『栄誉礼冠譜及び祖国』は地球時代から続いている伝統的な儀礼の曲。

 

 その後、国旗掲揚、巡閲が行われ、観閲行進が始まった。

 

 行進曲を演奏しながら皇軍音楽隊が入場してきた後、観閲部隊指揮官を務める第1師団長を先頭に観閲部隊の行進が開始される。部隊用国旗に続き学生隊が行進してきた。

 3年前の観閲式にはユイ達も行進に参加している。まだ12歳の頃だ。

 

「懐かしいね。3年前は大変だったよねナユ」

「だねー。手の振りと足を全員で合わせるの苦労したよ」

 

 行進は緑の迷彩服を着た歩兵部隊や、黒い動甲冑を着た装甲歩兵部隊が続く。徒歩部隊の後は車両部隊だ。軽装甲車や装甲人員輸送車、歩兵戦闘車など。反重力装置により飛行できるが行進時にはタイヤで走行していた。

 

 車両行進が続いているが、後ろから地面を揺らす大きな音が聞こえてくる。

 

「お、90式戦車だ。第7師団も参加しているのか」

「詳しいなゴウガ」

 

 レイの隣にいつの間にか三沢ゴウガが座っていた。彼は頼みもしないのにレイに行進部隊の解説をしてくれている。

 

 大きな音が近づいてくる。それは昆虫のように6本の脚で歩いてきた。

 

「昔戦車ってやつは、装軌、いわゆるキャタピラってやつで動いていたんだが、反重力装置が付いてからはいらなくなったんだ」

「じゃあ、なんで足が付いてるんだ?」

「あれは、砲撃の際に地面に固定するためだ。浮いたまま120mm霊符滑腔砲を撃つと後ろにすっとんでいくからな。あの脚の爪で地面をがっちり掴んで撃つんだ」

「へー」

「乗員は4名。車長、操縦手、砲手の他に装填手がいる。昔は砲弾自動装填だったが、今は砲弾に霊子充填が必要だからな。数千年ぶりに復活したんだ。弾種も色々あるし、術式封入した弾頭もあるんだぜ。広域火炎弾とか貫通雷撃弾とかな」

「へー」

 

 段々説明に熱が籠って来るゴウガと対照的に、相槌が適当になっていくレイ。

 

 目の前を六本脚の戦車が通り過ぎると、さらに大きな音が聞こえてくる。

 

 40mもの巨大な鎧武者が、列をなして歩くさまは物凄い迫力だ。

 

「次は星菱96式人型機動戦闘機か」

「……」

「零式もいいが、俺は96式の重厚さも好きだな。いかにも武士って感じだし。……どうしたレイ。お前んちの製品だろ?」

「なんでも」

 

 星菱の名前が出たとたん、ぶすっとした顔になったレイに構わず説明を続ける。

 

 ゴウガの説明通り、96式HFは零式より一つ前の機体だ。外見は五月人形の武者をそのまんま40mの大きさにした感じで、顔面も零式の目だけが見えている仮面とくらべ、目、鼻、口、ご丁寧に髭まである総面と呼ばれる仮面を付けている。まんまでっかい鎧武者だ。

 

 

 兵器開発の歴史は、霊子技術の発展そのものだ。

 

 霊力増幅機(Aether Amplifier)と呼ばれる装置を開魂者とリンクさせることで、莫大なエネルギーを得ることができる。

 宇宙を航行する艦船は、それを推進力にしたり、艦内居住のためなどに使用する。特に霊子で船体強化することを霊殻体(Aether Force Shell)という。

 霊殻体は民間船にとっては十分な強度があるが、軍艦としては強力なレーザー砲や荷電粒子砲などで破壊できるレベルだった。しかし霊子技術が発達することで、段々霊殻体の防御が上回るようになる。

 攻撃の手数を増やすため航空機型機動戦闘機や重力子魚雷などを開発し、霊殻体の防御を崩そうとした。

 

 兵器開発競争が過熱し、しばらくは攻撃と防御のいたちごっこが続いたが、決定的な兵器が誕生する。

 

 それが、人型機動戦闘機(Human Frame)だ。

 

 莫大な霊力を出力できるHFは、霊殻体(Aether Force Shell)よりも遥かに強力な霊力場(Aether Force Field)を周囲に展開できる。HFに対抗するにはHFで持ってあたるしかない状況を作り出す。

 

 HFが戦場の勝敗を左右する。まさに決戦兵器となっていた。

 

 

 観閲式が終わると、次は観艦式だ。『かが』の隊員達は客の立場から、主役に変わる。

 

 

続く




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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