【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

 現在、捕虜交換で帰還した将兵を中心に艦隊の再編を進めてはいるが、わずか半年の停戦期間では、まともな戦力化など望むべくもなかった。運河越しに対峙することで時間を稼ぎ、その間に体制を立て直すはずだった連邦の目論見は、突如として局所泡(ローカルバブル)ウォールを越えて現れた機動要塞によって、根底から覆されたのだ。

 

(あの技術……12貴族は事前に知っていたという話だが、なぜ軍に情報を開示しなかった? 現場の我々を信用していないのか?)

 

 フレッチャー中将は、12貴族の権力中枢からは距離を置いた立場にいる。政治的な駆け引きには興味がないが、特権を盾に独善的な振る舞いを続ける12貴族には以前から不信感を抱いていた。だが、軍の中枢にも彼らの息が掛かっている以上、現場の指揮官が抗う術はない。

 

(やれやれ、軍人とは因果な商売だ)

 

 連邦軍統合参謀本部の下した指令は、第4艦隊が機動要塞を追跡し、第5艦隊は帝国軍に襲撃された辺境州の奪還に当たるというものだ。

 

(まあ、第5艦隊も相当な貧乏くじを引かされているがな……)

 

 帝国の襲撃を受けた辺境州は計7つ。いずれも領主である貴族が私欲を貪り、領民の支持を完全に失っていた州ばかりだ。

 これが偶然でないことは明白だった。帝国軍は事前に各州の統治状況を克明に調査し、横暴な貴族が支配する州のみを標的に選んだのだ。

 

 帝国軍は州を制圧した直後、駐留軍を残さずに「自治を任せる」と言い残して去っていったという。結果、暴君を排除した領民たちは自衛のために連邦軍の立ち入りを拒否し、徹底抗戦の構えを見せている。連邦からの独立すら辞さないという勢いだ。

 

 連邦政府側からは「直ちに反乱軍を鎮圧し、領地を奪還せよ」という強硬な指令が届いているが、軍としても、守るべき対象である自国の領民を攻撃することには強い抵抗がある。第5艦隊は、極めて困難な対応を迫られていた。

 

 

(今は第4艦隊だけで要塞を追うしかないが、あまりに分が悪いな……)

 

 要塞の足跡を追っても、3倍以上の跳躍距離で容易く振り切られる。先回りしようにも、こちらの航路を飛び越されて背後を突かれる恐れさえあった。道路のような直線の移動であれば途中で捕捉することも可能だが、点で存在する銀河航路ではそうはいかない。

 

 かつて、周囲を分艦隊で固めて包囲網を敷いたこともあった。だが、今度は戦力分散の隙を突かれ、要塞から発艦した敵艦隊の猛攻によって、分艦隊が各個撃破されるという惨敗を喫した。それ以来、艦隊は密な陣形を崩さずに移動せざるを得なくなっている。

 

 この敗戦により、あの機動要塞には少なくとも2個艦隊規模の戦力が搭載されていることが判明した。もともと地球の衛星として連邦軍の軍港が存在していた場所だ。帝国がそこを拠点化し、拡張することは十分に可能だろう。

 巨大な要塞そのものの防御力に加え、内部に強力な機動戦力を秘めている。その攻略難易度は、フレッチャーの想像を絶する領域に達していた。

 

 苦悩するフレッチャー中将の元に、2時間後、再び霊電子戦艦隊群から予測情報が届く。

 

「よし艦長。休憩交代が済み次第、出航だ。今度こそ、皇帝の尻尾を捕まえてやるぞ」

「了解いたしました!」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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