【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第四十三話 生命
Part-A


 第03、第04護衛隊群が、3ヶ月に渡る超長期航海を経てついに目的地へと到着した。

 

 星系外縁部に着空(touchdown)した護衛艦から、哨戒用魚雷が次々と放たれる。

 

 人型搭載護衛艦DDH-5184『かが』からもHFが発艦し、光速の70%という猛烈な速度で星系内へと突入。彗燐光を輝かせ、彗星のごとく虚空を飛翔する。

 

「各リーダー。こちらホワイトアイ。これより広域管制を開始します。第一中隊は第三惑星方面へ、第二中隊は第四惑星方面に展開」

 

 人型早期警戒管制機を駆る第402人型術式作戦隊の横須賀リン2等術尉から、各HF隊に指示が飛ぶ。零式をベースに開発されたその機体は、優雅な巫女装束を纏い、頭上に円形の霊符を天使の輪のように回転させながら飛行していた。

 

 しかし今回は、いつもと装いが異なる。HFの両脇に2機の小型魚雷が寄り添うように随伴していた。そのカスタム魚雷は、別行動中の隊員・舞鶴シュユがリンのために遺していった特製品だ。

 

 シュユからは、出発前にこんな風に紹介されていた。

 

「じゃーん! これがリンちゃん専用護衛魚雷『リトルストライプα、β』君だよ!」

「か、可愛い……」

 

 リトルストライプと呼ばれた魚雷は通常よりも一回り小型で、愛らしいボディに上下に大きく張り出したヒレが付いている。それはかつて地球の熱帯に生息していたエンゼルフィッシュに酷似しており、ボディの縞模様が名前の由来だという。

 

 リンはその愛くるしい見た目を一目で気に入った。現在、彼女はそれぞれを「アル君」「ベー君」と愛称で呼んでいる。

 

 この魚雷は口に当たる部分に光子砲を備えた無人護衛機だが、真価はそこではない。大きなヒレには導霊性の高い合金神金(orichalcum)がふんだんに使用されており、強力な霊波増幅装置の役割を果たす。これによって人型早期警戒管制機の索敵能力を劇的に向上させていた。

 

「アル君、ベー君お願いね。広域霊探、作動開始!」

 

 2機を同調させ、仮想空間内で目を瞑り集中する。感覚を極限まで研ぎ澄ませ、星系全体を霊子の波動で走査していく。

 

 

 霊探(Aether Radar)霊測(Aether Sonar)は、皇国の霊子技術における根幹の一つである。

 

 電磁波などを用いた旧来の走査に比べ、遥かに高速かつ広範囲に情報を収集できるこの技術は、現代の宇宙戦闘において不可欠なものだ。

 

 霊探とは、術者が自らの霊波を放ち、対象の霊波反応を探る行為を指すが、その霊波は通常の三次元空間ではなく、その外側に位置する高次元領域「エーテル場」を伝播する。

 エーテル場は霊子(Aetherion)で満たされており、魂を持つ生命体はそこから絶えず霊子を湧き出させる「泉」としての役割を持つ。霊探とは、その泉の位置を感知する術だ。

 

 これは術者の直感に依存する部分が大きく、古い地球時代の潜水艦において、水測員が自らの耳で音を聞き分け敵を特定する作業に近い。機械的なセンサーでは捉えられない「生命のゆらぎ」を、生物である術者だけが感知できる特殊な事象。ゆえに、AIに頼るだけでは「反応なし」という結論しか導き出せないのである。

 

「レインボータワー。こちらホワイトアイ。広域霊探の結果、星系内に不明な高位霊子反応は認められません。引き続き、早期警戒任務を継続します」

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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