【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

「レインボータワー。こちらブルーリボン01」

『ブルーリボン01。こちらレインボータワー』

「予定通り第三惑星『地球』の衛星軌道上に到着。事前情報通り、天然の衛星『月』は消失していました。……ですが」

『ですが?』

「言葉で説明するより、映像を見た方が早いと思います。転送します」

『……ナニコレ。嘘でしょ?』

 

 『かが』の女性管制オペレータも、思わず素の反応を漏らす。

 

 コールサイン『ブルーリボン01』、横田ユイ2等武尉が、地球の近傍空域で目にしたのは、あまりに形容しがたい物体だった。

 

 汎ペルセウス帝国が『月』を丸ごと移動させ、機動要塞として連邦へ侵攻させた事実は周知の通りだ。だが、本来の月の位置には、代わりの「何か」が鎮座していた。

 

 それは、無数の小惑星を巨大なワイヤーで強引に繋ぎ合わせた、岩石の寄せ集めだった。球状のものから歪な形のものまでが不格好に絡み合っている。

 

 ユイも思わず「雑すぎ!」と叫ばずにはいられなかった。

 

 管制の分析によれば、月という巨大質量を移動させた際、地球の生態系に致命的な影響を与えないよう、帝国が同じ質量の小惑星を配置したのだという。

 月の引力が生む潮汐力は、海の潮の満ち引きを司り、地球上の生命維持に不可欠な役割を担っている。月を奪うという暴挙を行いながらも、地球の環境保護のために代用品を置くというその矛盾した行為。計算によれば、この岩石の塊も数万年の歳月をかけて重力で固まり、いずれは新たな球体の「月」になるというが。

 

 生態系への奇妙な配慮と、小惑星を適当に縛り付けた工作の雑さ。ユイは帝国の真意がますます分からなくなった。

 

 

 気を取り直し、ユイは眼下に広がる本来の目的地を見据えた。

 

 人類発祥の地、太陽系第三惑星・地球。その星は深い青に輝き、大陸は濃密な緑に覆われている。

 

 ユイたちが生まれ育った皇国の帝都星カントウも青い海を持つ美しい星だが、陸地の緑の密度は地球の比ではない。皇国は銀河で最も古い入植地の一つだが、それでも歴史は二千年ほど。数億年の生命の歴史を刻む地球の豊かさは、圧倒的な生命力として視界に飛び込んできた。

 

 現在、この地球に人間は一人も住んでいない。

 

 約二千五百年前。当時の地球統合政府は、急激な気候変動による人類滅亡を回避するため、地球脱出計画を立案。全人類が持てる力を宇宙開発へと結集し、その過程で霊子(Aetherion)という無限のエネルギーを発見した。

 この新技術を手に、人類は銀河の各地へと旅立ち、母なる地球は、誰もいない孤独な星となった。

 

 地球自由連邦の成立後は、研究などの目的で少数の管理要員が駐在していた時期もあったようだが、先日のサミットテロ以降、完全に無人の星に戻ったはずだ。

 

 

「中隊各位。こちらブルーリボン01。これより惑星探査任務を開始します。第一小隊は南半球、第二小隊は北半球。第三、第四は惑星軌道上の哨戒に当たって。了解?」

 

 各小隊長からの了解応答を確認し、ユイは通信を小隊チャンネルに切り替える。

 

「では、第一小隊各位。地球へ降下開始!」

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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