【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第四十四話 挟撃
Part-A


「ようやく捕まえたぞ。帝国の機動要塞」

 

 第4艦隊司令官フランク・フレッチャー中将が独り言ちた。

 

 目の前の大型スクリーンには、真ん丸な星。元地球の衛星『月』が映っている。もちろん録画ではなく、リアルタイムの望遠光学映像だ。

 

 地球自由連邦内の銀河航路を追跡し続け、ついにここ銀河航路(ルート)99で捉えることができた。

 

 (ルート)99は、宇宙塵(ダーククラウド)内にできた細い回廊だ。この空域は地球からも観測でき、コールサック(石炭袋)と呼ばれる暗黒星雲。暗黒星雲を構成するガスや塵は星の材料であり、星が形成される領域でもある。星が生まれるほどの高密度であるため重力も強い。

 暗黒星雲内を貫く真っ直ぐな銀河航路(ルート)99以外では次元弾道跳躍(Dimension ballistic leap)不可だ。

 

「司令!機動要塞の反対側に新たな霊子反応あり!距離30光分!」

「おお、来たか!」

 

 帝国の機動要塞を挟むように着空(touchdown)したのは、連邦軍第5艦隊。(ルート)99の回廊反対側から入り、タイミングを合わせ同じ空域に到着した。

 

「よし!これで第4、第5で挟撃できる!全艦艇お呼び第5艦隊に通達!これよりハンバーガー作戦第2段階を開始する!」

「「「Aye, aye, sir!」」」

 

 

 赤き月(Roter Mond)と呼ばれる帝国の機動要塞。それを攻略するための作戦『ハンバーガー作戦』の要旨はこうだ。

 

 まずハンバーガーの名の通り、機動要塞を挟むこと。銀河航路(ルート)99の狭く真っ直ぐな回廊は挟撃しやすい。

 

 もし要塞が逃亡のために次元弾道跳躍をしようとしても、回廊の横方向に次元弾道跳躍するには狭くて準備加速の距離が足りない。第4、第5艦隊の方向にしか準備加速できない状況だ。その場合、ありったけの重力子弾頭を叩きこむことで速度を抑えられる。この状況から逃亡は不可能。

 

 ここまでで第1段階は達成。次に第2段階要塞攻略に作戦は進む。

 

 機動要塞は内部に2個艦隊を搭載している。要塞にある機動戦力はとてもやっかいだ。作戦第2段階として、まず敵艦隊をおびき出して叩く。艦隊数は同じだが一艦隊辺りの艦艇数、HF数は連邦が上。厳しい戦いになるだろうが、相手は自分の要塞を背後にするため、自由に動けない。事前シミュレート通りの艦隊行動ができれば抑えられる。

 

 そして第3段階で要塞攻略。要塞は強力な魔術攻撃を持っているので、艦隊は容易に近づけない。そこで活躍するのはHFだ。艦隊から揚陸支援砲撃を続け、その隙にHFで突入。開口部から侵入できれば、こちらの勝ちだ。

 

 

「よし!各艦砲撃開始!敵艦隊をおびき寄せろ!あんまり近寄り過ぎるなよ。魔術攻撃がくるぞ!」

 

 連邦軍艦隊から砲撃が開始される。ただこの砲撃は遠距離から散発的に行われ要塞を破壊するための攻撃でないことは見てわかる。しかし無視できないレベルなので敵も艦隊を出す必要があるだろう。

 

 持久戦になるにしても、連邦は後方に補給艦隊を備えており、その後方にも補給線を確保しているので物量で圧倒できる。対して要塞側は補給は搭載分だけで連邦領内に進攻して既に2か月経ち、要塞内の資源も大分目減りしているだろう。

 

 しばらく砲撃を続けているが、敵は艦隊を出してこないようだ。持久戦であれば補給の分こちらが有利。時間は掛かるが少しずつ月の岩盤を削り取り要塞基部を破壊できれば連邦軍の勝利だ。

 

 フレッチャー中将がほくそ笑む。

 

 しかし次の瞬間。

 

「司令!艦隊後方に霊子反応多数!次元弾道跳躍の着空と思われます!」

「なに?補給艦隊が間違えて来てしまったのか?」

「いえ!……霊測で確認!味方ではありません!敵艦です!」

「なんだと!?」

「空母『グラーフ・ツェッペリン』他艦艇を確認!帝国軍第1機動隊群です!」

 

 ほどなく第5艦隊の後ろにも、敵艦隊を確認した。2個艦隊で要塞を挟撃する予定が逆に、敵艦隊、第4艦隊、要塞、第5艦隊、敵艦隊と挟撃されてしまった。

 

 自艦隊をパン、敵を具として美味しく頂くハンバーガーに例えたが、今の状況は、パン、具、パン、具、パンという構造。連邦内でも有名なハンバーガーショップのメニュー。ビック〇ック状態だ。

 

 このままでは連邦艦隊が具として美味しく頂かれる。

 

「ぜ、全艦反転!HFも発艦させよ!」




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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