【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
地球の巨大な白い塔、軌道エレベータ前に十数機のHFが浮いていた。
その中心の2機は、陣羽織を着た星菱零式HF
目の前には窓が破壊された300階。サミットテロの現場で、女帝とフランクス王が両親を亡くした場所だ。
ラファールに乗った元フランクス国王シャルルⅢ世、現自由フランクス政府の代表のトロワ・ダッソーナは、エクス教式の祈り、手でⅩ字を切る。HFも同様の動きを見せた。短い祈りを終えると、横の女帝が乗るHFが手を合わせ祈り続けている。
彼女は今は亡き両親に報告することが沢山あるのだろう。
トロワは前国王、王妃と一緒に暮らしていた記憶が余りない。もちろん仲が悪かった訳ではなく、亡くなったことはとても悲しい。しかし親としての感情と言うよりも国王としての感情が勝ってしまう。両親とも政務が忙しく、トロワは乳母に育てられた。国王も王妃も若く十代で産んだことが影響したかもしれない。なので育てられたという感覚はあまりなく、縁者であるダッソーナ家で育った時間の方が長いくらいだ。
皇国の女帝は、どうなのだろうか。男と女の違いはあるかもだが、祈りの長さから彼女は両親に親愛を寄せているのが良く分かる。
トロワは彼女に対して大きな恩義を感じている。今フランクス王国奪還に動いてくれているのもそうだが、国を失い無様に生き延びた自分を受け止めてくれた。それは同情などではなく、同じ立場に立って考えてくれた結果。精神的にどん底だった自分を救ってくれた彼女には返しきれない恩がある。
何ができるか分からないが一生をかけて必ず恩を返す。その前に王国の奪還だ。
いまだ続いている女帝の祈りを邪魔しない様に個人通話を入れる。
「フィー」
『はっ』
側近であるフィーことデルフィーヌ・ランディヴィジオは即座に応答した。
「補給の状況は?」
『98パーセント完了しています。我らが帰艦する頃には終わっているかと』
「分った。ありがとう」
欲しい情報をすぐ返してくれる有能な側近だ。彼女の家であるランディヴィジオ家は代々フランクス国王を補佐する家系。トロワの乳母も彼女の親類である。そういうこともあり、フィーとは幼い頃から一緒に育った。なので一つ年下の彼女は妹のような存在だ。
しかし最近は臣下としての態度を気を付けているようだ。少し寂しいがそれが彼女の覚悟なのだろう。
しばらく経つと女帝の祈りが終わったようだ。
『お待たせしました。戻りましょう』
女帝から通信が入る。少し元気が無い様だ。HFの中という人目のない場所で彼女は何を思ったのだろう。
側近たちと共に、それぞれの母艦に戻る。そのころには補給が完了するはずだ。
トロワに色々な思いが駆け巡るが、今は作戦に全神経を集中する必要がある。
フランクス王国奪還のための作戦、