【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

「第03護衛隊群、準備加速に入りました」

「了解」

 

 オペレータの報告を受け、『かが』艦長、呉ナナはわずかに肩の力を抜いた。残るは自らが率いる第04護衛隊群のみである。

 

 遠征先遣統合任務部隊は、超長距離航海の疲労を癒やす休憩と物資補給のため、太陽系を中継拠点としていた。帝国軍による待ち伏せも警戒されたが、霊電子戦艦群の偵察通り、空域はもぬけの殻であった。かつて地球の衛星であった『月』は、要塞化されこの宙域を去っていたが。

 

 後続の遠征主力部隊と補給艦隊が合流し、橋頭堡としての太陽系で体制を再編。目的地であるフランクス領内への進攻準備を整える。

 

 だが、安穏としてはいられない。無人ステーションを破壊した時点で帝国軍への警報は発せられており、敵の追撃部隊がいつ現れても不思議ではない。

 

 まずは補給艦隊が、FFM『もがみ』を中核とする第11護衛隊群に守られつつ本州へと帰還。往路と同じく、古代の銀河航路を逆走していく。

 

 続いて、遠征主力である第01、02護衛隊群、および自由フランクス艦隊が目的地へ向けて抜錨した。ルートは帝国が太陽系侵攻に用いたものと同じ古代航路だ。霊電子艦隊群の事前偵察により、安全は確保されている。

 

 そして『かが』は、すべての艦艇が跳躍を終えるまでこの宙域を死守する、いわゆる殿(しんがり)の重責を負っていた。

 

 第03護衛隊群が準備加速を経て、次元弾道跳躍(Dimension ballistic leap)へと移行。太陽系から離空(lift-off)した。いよいよ第04護衛隊群の番である。

 

「第08護衛隊、準備加速開始!」

 

 まず第04護衛隊群司令部を擁するDDG-5176『ちょうかい』を含む、第08護衛隊の4隻が発進。最後に『かが』所属の第04護衛隊が続く手はずだ。

 

「『ちょうかい』離空まで、あと5、4、3、2、1……離空!」

霊探(Aether Radar)に反応! 太陽系外縁、銀河方位南西より複数艦艇の着空(touchdown)を確認しました!」

 

 第03護衛隊群の離空とほぼ同時に、不明艦隊の出現が報告された。

 

 最悪のタイミングだ。太陽系の反対側であるため即座に砲火を交える距離ではないが、次元弾道跳躍へ移行する際の無防備な瞬間を突かれれば致命傷になりかねない。

 

「全艦第一種戦闘配備! 副長、『いなづま』『さみだれ』『さざなみ』へ準備加速の開始を伝達!」

「了!」

「機関長、本艦も最大出力での加速準備!」

『あいよ、任せな!』

「飛行長!」

『はっ!』

「HF隊を緊急発艦、敵を牽制!」

『了解! 第一中隊で敵を足止め、第二中隊は本艦の直掩! 全機、発艦始め!!』

 

 ナナの口から矢継ぎ早に指示が飛ぶ。

 

 一歩間違えれば、『かが』だけがこの宙域に取り残され、帝国軍の集中砲火を浴びることになる。撤退のタイミングを誤ることは許されない。

 

「頼むわよ……他艦が脱出するまでの時間を、何としてでも稼いで」

 

 戦場の最前線における、刹那の判断。ナナはすべての希望を、第一中隊長・横田ユイに託した。

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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