【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

『ブルーリボン01。こちらホワイトアイ。敵空母よりHF隊の発艦を確認。会敵予想時間は約20分後』

「ホワイトアイ。こちらブルーリボン01。了解。機種は特定できる?」

『霊紋照合……イーグル系と確認。例の黒鷲(くろわし)部隊ね。機数は12機』

「イーグル以外の機体は?」

『ちょっと待って……一機、データベース未登録の特殊な霊紋を識別したわ』

「了解、ありがとう。……心当たりがあるわ」

『撤退のタイミングで合図して。一瞬だけ霊電子攻撃(AEA)術式(Script)を叩き込むわ。以上』

 

 光速の70%。HFの限界加速で帝国軍部隊へと突き進む第一中隊。背後に16本の長い光の尾を引き、彼らは虚空を駆ける。

 管制のリンが捉えた未登録機。その機体に乗っているのは、友人のヒルデガルド・ラムシュタインに違いないと、ユイは確信していた。

 

 

 操魂球(Cockpit Sphere)内の仮想視界に、赤く点滅する敵マーカーが並ぶ。光学視認にはまだ距離があるが、霊探のデータが敵の輪郭を冷徹に描き出していた。数は12。機数ではこちらが勝っているが、この戦いの本質は殲滅ではない。

 味方艦隊が太陽系を脱出するまでの、文字通りの「時間稼ぎ」。敵の猛攻を凌ぎつつ、全機が無事に帰還できる限界のタイミングを見極めなければならない。

 

 表示される距離計が爆発的に減少し、ついに視界に彗燐光の輝きが捉えられた。次の瞬間、先頭を駆けていた敵機と激突する。亜光速同士の運動エネルギーが、霊力場(Aether Force Field)の干渉によって凄まじい量の光子へ相転移し、宇宙を白く焼き尽くす。

 

 ユイの零式と正面から刃を交えたのは、漆黒のHFF-111C アードヴァークであった。ユイは薙刀(なぎなた)を、相手は長槍(ロングスピア)を構える。長物を得物とする稀有なHF乗り同士の再会だった。

 

「なんでヒルダが帝国にいるのよ!」

 

 接触通信を通じて、ユイの叫びが相手のコクピットへ直接響く。

 

『その声は……ユイか!?』

 

 ヒルダもまた、ユイの存在を瞬時に理解した。二機は一旦距離を置き、即座に武器を構え直す。

 

 銀河の最果てで、長柄の得物が高速で交錯し、火花を散らした。

 

――

 

「ユイ!? 今、援護に……!」

 

 僚機であるレイが、激しい打ち合いを繰り広げるユイの元へ向かおうとした。

 

 だが、その背後から耳を劈く接近警報が鳴り響く。

 

 反射的に機体を反転させたレイの視界に、赤と青のラインが走る白いイーグルが飛び込んできた。敵は既に近接用のショートソードを逆手に構えている。

 

 レイは抜刀してその一撃を受け止めた。だが、敵の追撃は止まらない。左手の動きを察知したレイは、咄嗟に小太刀を抜き放つ。双剣同士による、目にも止まらぬ斬撃の応酬が始まった。

 

「二刀流……!?」

『アンタもなの!?』

 

 意図せず接触通信が繋がる。聞こえてきたのは、勝気な若い女性の声だった。

 

『アンタ、なかなかやるわね! でも、うちのお兄ちゃんの方がずっと強いんだから!』

 

 そう言い放つなり、敵機はレイの腹部に蹴りを見舞って強引に距離を取った。通信が途絶した直後、レイは肩の99式2号250mm連装機銃を乱射し、追いすがる。

 

 しかし白いイーグルは、重力を無視した忍者のような機動で弾丸の嵐をすり抜けた。有り余る霊子から相転移した光子が、残像となって宇宙に姿を留め、本体を見失わせる。

 

 レイは知る由もなかったが、その少女こそが、イーグルの高機動試験機HFF-15ACTIVE アジャイルイーグルを駆るユースティア・ラングレーであった。

 

 執拗に敵を追いながら、レイは困惑を口にする。

 

「お兄ちゃんって……一体誰のことだ?」

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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