【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

「ところで、義姉さんはなぜここへ?」

「私は『双子の魔女』に呼び出されたのよ」

 

 4大魔女と呼ばれる伝説的な高位魔術士。その一角を占めるのが、二人で一つの名を持つ「双子の魔女」である。そのため、4大魔女という称号でありながら、実際には5人の魔女が存在するという奇妙な状況になっていた。

 

「管理局からの召喚ですか……。穏やかではありませんわね」

「ええ。ドワーフとの霊電子戦の結果について、散々嫌味を言われてきたわ」

 

 ノーフォーク魔術同盟の本部は、方針を決める「理事会」、実務を担う「事務局」、そして所属魔術士を監視する「管理局」の三層構造になっている。

 中でも管理局は、魔術を悪用する者の取り締まりから、術式の不正利用の監視、そして倫理を逸脱した「禁呪」の開発阻止を任務とする、魔術士たちにとっての審判の場であった。

 

「それはお気の毒に……」

「あのバケモノ共ときたら、左右からステレオ放送みたいにぐちぐち文句を垂れ流して。しまいには『『クスクス、もう引退して子供でも作ったら?』』なんて言い出しやがったのよ。自分たちに言われたくないわ。クソババァども、私はまだ27だっての」

 

 管理局長を務めるリブル・ノーフォークとラブル・ノーフォーク。彼女たちの外見は、十代半ばの可憐な少女そのものだ。リブルは赤いリボン、ラブルは青いリボンで、左右対称のサイドテールに結っている。

 だが、その実年齢は完全に謎に包まれている。公的な書類上でも五十年前からその姿で存在しており、一説には百年以上生きているとも囁かれていた。

 

 ちなみに、霊子適性を持つ開魂者(Openian)の平均寿命は120歳前後であり、普遍人(Normalian)よりも遥かに長い。女性の出産適齢期も30歳前後からとされる。しかし、魔術士が出産を経験すると母体から子供へ魂の株分けが行われ、総霊力が大幅に減衰するという特性がある。それは第一線からの引退を意味するため、現役の魔女にとって「子供を作る」という言葉は最大の皮肉であった。

 

「あはは……。まあ、妹としては兄さんと早く結婚してほしいですけれど。それで、具体的な処分などはあったのですか?」

「いや、特には。ただの嫌味よ。帝国との戦闘は連邦軍全体の問題だし、管理局長も実は今回の侵攻にはあまり興味がないみたい。あくまで『魔女のブランド価値が下がるのが不愉快』という程度の話のようね」

 

 魔術同盟は連邦だけでなく、全銀河国家群に支部を持つ超国家的組織だ。連邦内でも三指に入る権力基盤を持ってはいるが、実のところ連邦の存亡など二の次なのだろう。

 

「なるほど。それでも、ドワーフ共には一矢報いたいものですわ」

「そうね。クソガキ共に舐められっぱなしなのは癪だわ。それで、統合参謀本部は何か動いているの?」

「いえ……どうやら(ルート)99会戦の敗北以降、機動要塞の追跡は事実上断念したようです。現在は防衛に徹すると言っていますが、要するに各自の領地に引き籠るつもりのようですね」

「あらまぁ。そうなると、限られた防衛戦力の分捕り合いが始まるわね」

「ええ。高位の貴族にはナンバーフリートが優先的に配備されるでしょうが、辺境は捨て石にされるでしょう」

 

 地球自由連邦は多数の州からなる緩やかな国家連合であり、各州は高い独立性を持つ。連邦軍も本来は全体のために奉仕すべき存在だが、実際には貴族のパワーバランスに翻弄されるのが常だった。有力な貴族の中には、連邦軍とは別に私設艦隊を保有している者さえいる。

 

「……ドワーフのクソガキ共を懲らしめるのは、一筋縄ではいかなそうね」

「ええ。私も当分、出撃の機会はなさそうです。ブレマー義姉さん、この後お時間は? 近くに素晴らしい紅茶を出す店がありますの。ご一緒しませんか?」

「いいわね。お茶にしましょ」

 

 魔女たちにとっては、国家の危機よりも一杯の紅茶の方が、時には優先すべき大事であった。

 

 





【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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