【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第五十話 苦悶
Part-A


 地球自由連邦ハンプトン州。その州都がある惑星ユースティス。

 

 ユースティスの青い空に丸い月。その大きさは空の3分の1を占めていた。その正体は帝国の機動要塞。

 

 本来、そこまで惑星に近づくとロッシュ限界といって惑星の潮汐力によって粉々になるが、そうはなっていない。そもそも重力の影響が惑星にも及ぶはずだが何も起きていない。

 それは機動要塞が霊符着空機に相当する機能で空間を安定させているため、要塞重力の影響が他に波及しないようになっている。その機能で惑星付近への次元弾道跳躍(Dimension ballistic leap)着空(touchdown)を可能とした。

 

 そんな圧を感じる空の下、跪いている男が一人。

 

 その男の名は、サミュエル・ラングレー。ハンプトン州領主であり、12貴族の一員でもあるラングレー卿。後ろ手に手錠を嵌められ、帝国軍人に囲まれている。

 

 場所はラングレー家の館でその広い庭園だった。そこに1機HFが空から降りて来る。黒灰色に塗装されたHFF-15E ストライクイーグル。重力制御でゆっくりと降りて、庭園の中央に静かに着地した。

 

 HFから降りてきたのは帝国軍の軍服を着た男。軍帽を脱いで跪いているラングレー卿の前まで来た。

 

「お久しぶりです」

 

 声の主に気が付いたラングレー卿は、俯いていた顔を上げる。

 

「おお!ビュートじゃないか!」

 

 その声音には味方が来た安心感が含まれていた。

 

「はい、おじさん。すまん、手錠を外してくれ」

「はっ!アーガイル大尉!」

 

 後半は周囲に居た帝国軍人に向けられたもの。命令通り手錠を外す。ラングレー卿は外された手首を撫でながら立ち上がった。

 

「ありがとうビュート。君は帝国軍人になってしまったんだな」

「はい」

「……ユースティアは元気かね?」

「はい。元気にしています」

 

 周りの帝国軍人を気にしながらする他愛のない会話。

 

「そうか……私は帝国軍に拘束されるということでいいのか?」

「そうですね。しかし私が開放できるように話しましょう」

「おお!さすがビュートだ!感謝する!」

 

 そう言ってハグするラングレー卿。しかしビュートは応じず耳元で囁く。

 

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 ラングレー卿はビクリと体を強張らせた。

 

 ハグしていたビュートを突き飛ばし、離れるラングレー卿。

 

「なぜ、あの部屋のことを!?」

「ティアから聞きました」

「き、貴様!育ててやった恩も忘れおって!」

 

(育てた……か)

 

 ビュートはラングレー家に連れてこられたときのことを一瞬思い出した。

 

 それはアーガイル家の両親が事故で亡くなった後だ。10歳のビュートは訳も分からず、遠縁の親戚とされたラングレー家に引き取られた。

 引き取ったというものの、家族としては扱われず、部屋も屋敷の外の掘っ立て小屋に住まわされる。ラングレーの家族にはほぼ接触はなく、息子達には暴力も受けていた。唯一ティアだけが懐いてくれた。

 12歳になると軍学校に入学して寮生活を始め、やっとラングレー家から解放され自由になる。

 

 苦い思い出のことは一切顔に出さず冷静に返す。

 

「あの部屋を捜索して何もなければ開放します」

「……分かった降参だ」

 

 ラングレー卿は観念したかのように両手を上げて降参のポーズを取る。

 

 上げた右腕の手首を少し動かすと手の裏に10センチほどの刃が飛び出す。それは正面のビュートからは見えない位置。

 

 一瞬でビュートに詰め寄り、隠していた刃を刺そうとする。

 

「死ね!」

 

 しかしビュートは予見していたかのように、バックステップから両手片手両用剣(バスタードソード)を一瞬で抜き、ラングレー卿の手首を刃ごと切断した。

 

「ぎゃあああ!!!!私の腕がぁぁ!!!」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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