【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

 レイの母、カズミさんのお葬式の日。泣いているレイの手を取った。その光景は、ユイの心にも鮮明に刻まれている。二人にとって、絶対に忘れられない大切な転換点だ。

 

「当然、覚えてるけど……それがどうしたの?」

「ユイの手を握って立ち上がった後、ボクは言ったんだよ。『ありがとうユイ。好きだよ』って」

「……え!? そ、そうだっけ!?」

「うん。……だから、ボクはもうずっと前に伝えてる。ユイが好きだって」

 

 ユイはあの時、自分が何とかしなければという使命感に燃えていた。レイが手を取り返してくれた喜びで頭がいっぱいになり、その後の細かい台詞までは記憶から抜け落ちていたのだ。

 

 ユイは返す言葉もなく、真っ赤になって俯いてしまう。

 

「ユイ……?」

 

 ユイの肩が小刻みに震えている。レイは、あまりにも昔の話を持ち出したことで怒らせてしまったか、と不安を覚えた。

 

「……目を瞑って」

「え?」

「いいから、瞑って」

「……分かった」

 

 ビンタでも飛んでくるのか。レイは覚悟を決め、目を瞑って歯を食いしばった。

 

 だが、数秒の静寂の後、唇に羽が触れたような柔らかい感触が走った。

 

「え……?」

 

 驚いて目を開ける。目の前には、顔を真っ赤に染めながらも、太陽のように輝く笑顔のユイがいた。

 

「アタシも、レイが大好き! ……これで、両想いだね。これからもよろしくね、レイ!」

 

 言い終えるなり、彼女は弾かれたように踵を返して走り去っていった。レイは自分の唇にそっと手を当て、その場に呆然と立ち尽くす。

 

 甘酸っぱい空気を残して、その場で別れ、ユイは1人で嬉しさを噛みしめる。

 

 はずだった。

 

『緊急放送。HF隊は直ちにブリーフィングルームへ集合せよ。繰り返す……』

 

――

 

 ブリーフィングルームには、第401飛行隊の面々が揃っていた。

 

 ユイとレイも、当然隣に並ぶ。

 

「……」

 

 ユイの顔は真っ赤だ。ほんのついさっき、あんな告白してキスまでして今さらどんな顔してレイに会えというのか。恥ずかしさにぷるぷると震える。

 

「横田。……顔が赤いぞ、具合でも悪いのか?」

「何でもありませんっ!!」

「そ、そうか……」

 

 その異様な様子を、飛行長の春日ツクモに心配されてしまう。

 

 一方のナユは、二人の不自然な空気を見てすべてを悟った。ようやく進展があったのだと、彼女は口元をニヤリと歪める。

 

(分かりやすすぎるユイはともかく、あのレイ君まで耳が真っ赤じゃない。……良かったわね、二人とも)

 

 赤面して固まっている第一中隊長と、それを見てニヤつく第二中隊長。

 

 ツクモは何があったかは知らないが、戦闘に支障がなければいいと判断し、説明を開始した。

 

「集まってもらったのは、戦況に大きな変化があったからだ。まず、自由フランクス艦隊と第01、第03護衛隊群が、ヴェルサイユ州へと突入した」

 

 その言葉に、ユイは即座に意識を切り替えた。

 

「じゃあ、いよいよ……」

「ああ、そうだ。首都パリーヌの奪還作戦が開始される」

 

 これまで各地のパレードで時間を費やしていたが、ついに本命である首都奪還へと舵を切ったのだ。

 

「領邦軍は既に大半が撤退している。無血開城の可能性も高い。……問題は、我々だ。帝国国防軍の第3、第4機動隊群が、ローマリアを経由してフランクス領内へと移動を開始した。我ら第02、第04護衛隊群は、その迎撃に当たる」

 

 隊員たちの間に緊張が走る。ついに、帝国の精鋭である国防軍との正面衝突が始まるのだ。

 

「太陽系で交戦した黒鷲部隊も、その中に含まれている。……今度は牽制ではない。完全に撃退せよ。心してかかれ」

 

 ユイは表情を引き締めた。あの時は撤退を援護するための戦いだったが、今度は祖国解放を賭けた真剣勝負だ。

 

(ヒルダと決着をつける。……今度は、アタシたちの番よ!)

 

 前回は精神的に圧倒されたが、今は違う。ユイは、レイを想うことで自分の中に底知れない力が湧いてくるのを自覚していた。これこそが、かつてヒルダが言っていた「愛の力」なのだろう。

 

「最後に一点。帝国の機動要塞が行方を晦ました。おそらくは、同様にこちらへ向かっていると思われる。詳細が判明次第、随時報告する。以上だ。解散!」

 

 ツクモの号令と共に、ブリーフィングは終了した。決戦の火蓋は、今まさに切られようとしていた。

 

 

続く

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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