【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
「エッフェルタワー、こちらブルーリボン01。着艦許可を願います」
『ブルーリボン01、こちらエッフェルタワー。飛行甲板への進入を許可する。ようこそ、シャルル・ド・ゴールへ!』
横田ユイの操るHF『ブルーリボン01』は、空母との相対速度を精密に合わせ、イオンドライブスラスターを繊細に吹かしながら、特徴的な矢印マークが刻まれた飛行甲板へと慎重に降り立った。
フランクス局所泡艦隊の誇る打撃空母『シャルル・ド・ゴール』。その両脇には、皇国の人型搭載護衛艦『いずも』型二隻が寄り添うように並走している。全長1,000mを超える『シャルル・ド・ゴール』と、800m級の『いずも』型。巨艦三隻が隊列を組む光景は、見る者を圧倒する迫力に満ちていた。
そして眼下には、青く輝く惑星――フランクス王国の首都、パリーヌ星が広がっている。
皇紀4902年4月の帝国侵攻によって占領されてから、一年と八ヶ月。長く苦しい時を経て、ついにパリーヌ解放の瞬間が目前に迫っていた。
現在、自由フランクス軍はパリーヌ星の都市部にて帝国軍残存勢力の掃討戦を展開中だ。安全の確保ができ次第、凱旋パレードを含む大々的な式典が執り行われ、全銀河国家群に向けて「フランクス王国開放宣言」が発信される予定となっている。
ユイは緊急の招集を受け、この『シャルル・ド・ゴール』を訪れていた。母艦である『かが』からは目と鼻の先であり、本来なら連絡シャトルを使う距離だが、あいにく全機が出払っていたため、緊急性を考慮してHFでの直接移動を選択する。
飛行甲板からエレベータで下層へ降り、格納庫内を歩く。皇国の最新鋭機である零式が珍しいのか、居合わせた作業員たちが一様に足を止め、ユイに注目していた。
誘導員の指示に従って指定位置に機体を係留し、装甲を展開。
デッキでは、フランクス軍の下士官が直立不動で待ち構えていた。
「お疲れ様です、横田2等武尉! 会議室までご案内いたします!」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
下士官に先導され、艦内の通路を進む。すれ違う将兵たちが次々と足を止め、ユイに向かって敬礼を捧げた。
あまりに物々しい様子に、ユイは戸惑いを隠せず、案内役の下士官に小声で尋ねる。
「な、なんだか、すごく注目されていませんか?」
「もちろんです! フランクス解放の立役者、『
「そ、そんな立役者だなんて……」
「いいえ! 帝国領邦軍のみならず、あの精鋭たる国防軍のHF隊を二度も退けたと聞き及んでおります! 貴女のお力添えに、軍民問わず誰もが深く感謝しております!」
「はぁ……」
これでは全く、取り付く島もない。通路で敬礼する人々の眼差しは、畏敬の念に満ちたものから、好奇心旺盛なものまで様々だ。皇国内でも英雄視されることには慣れていたつもりだが、異国の地で受ける熱烈な視線には、どうしても気恥ずかしさが勝ってしまう。
本当は、大声で伝えたい気分だった。これは自分一人の功績ではない。レイや401飛行隊の仲間たち、そして皇国とフランクス両軍の全員が、死力を尽くして戦った結果なのだと。