【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
先のバルラーン星系迎撃戦において、幸いにも双方に戦死者は出なかった。中性子星の重力圏付近では時間の流れが著しく遅延するため、救出作業は困難を極めたが、全機が収容を完了している。一部の機体は中破以上の損害を受けていたものの、すべて修理可能な範囲内であった。
敗れた帝国国防軍の第3、4機動隊群は、国境を越えローマリア領内まで後退。フランクス領内からの国防軍の排除は、これをもって一区切りがついたと言える。
自由フランクス艦隊と皇国護衛艦隊は、既に全域での掃討戦へと移行していた。帝国から解放された旧フランクス義勇軍――シャルルマーニュ艦隊や、ローマリア共和国軍の外洋部隊第一戦隊もこれに合流。
ローマリア軍がこれほどまでに協力的なのは、フランクス解放の後に、自分たちの祖国をも帝国から取り戻すという密約があるためだ。フランクスとしても両国から帝国軍を完全に駆逐しない限り、真の平和が訪れることはない。
国内の領邦軍主力は既に撤退を終えており、残るは「保安隊」と称する占領維持組織のみ。市民に暴虐の限りを尽くしていた彼らに対し、フランクス正規軍と合流したレジスタンスの攻撃は、まさに苛烈を極めていた。
王国の夜明けは、すぐそこまで来ている。
――
ユイが会議室へと通され、入口で鋭い敬礼を捧げた。室内に足を踏み入れた瞬間、その場の空気の重みに息を呑む。そこには、まさに
「横田ユイ2等武尉、只今参りました!」
「はい、ユイさん。バルラーン星系での戦い、見事でした。獅子奮迅の活躍だったそうですね」
「勿体なきお言葉です、陛下」
広々とした会議室にいたのは、
だが、その末席に意外な人物の姿を見つけ、ユイは目を丸くした。
「あれ? リン?」
「あはは……ユイも呼ばれたのね、やっぱり」
同じ『かが』に所属する横須賀リンだ。流石の彼女もこの最高首脳会談の場には緊張しきっているようで、ユイの姿を見て目に見えて安堵の表情を浮かべた。ユイは促されるまま、リンの反対側の末席へと腰を下ろす。
「さて、主役が揃いましたね。先ほどの続きを始めましょう」
女帝の言葉を受け、側近の佐世保シズカが手元のコンソールを操作した。正面の大型スクリーンに、一人の女性の姿が映し出される。純白の修道服――エクス教の聖女の装束に身を包んだ彼女は、穏やかな微笑みを湛えていた。
『貴女がユイさんですね? リンからいつもお話を聞いていますよ』
「リンから……? あ、もしかして、ニューズ・ニューポートさんですか?」
リンが大切に思っているエクス教の知人として、以前から名前を聞いていた人物だ。そう思ってリンを見ると、彼女は小さく首を横に振った。
『ふふ、今はニューズ・パールハーバと名乗っております』
「パールハーバ……。ええと、どこかで聞いたような……」
ユイが必死に記憶を辿っていると、女帝が優しく助け舟を出した。
「ニューズ・パールハーバ聖下は、エクス教の新たな