【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第五十四話 過去
Part-A


「光学で船影を捉えましたカイヤ船長。最大望遠です」

「例の海賊船ね?」

「はい。シルエットからセイルの数と形が依頼主の情報と一致しています」

 

 それほど広くないブリッジには3人居た。中央の船長席には黒髪ロング。前方オペレータ席に茶髪と金髪ウェーブ。いずれも若い女性だ。

 正面のスクリーンに輪郭を強調した宇宙船が映っている。

 

「了解。ありがとうアリーシャ。霊測(Aether Sonar)の結果ぴったり。さすがねセリア」

「えへへ、まーかせて!」

 

 オペレータは電子・通信関連担当のアリーシャ・ノーフォークと霊子・その他制御関連担当のセリア・パールハーバ。アリーシャは海賊船と思しき船影を分析、セリアは船長に褒めて貰って照れている。

 

「あ!海賊船が動き出しました!」

「向こうもこちらを見つけたか。逃がさない!セリア!セイル収納!重力源推進停止!核パルスエンジンで急加速を行う!」

「りょーかい!左右のセイル格納開始!重力源推進装置カット!核パルスエンジン一番、二番、三番起動!重水素三重水素カートリッジ装填!レーザー点火タイミングは船長席で!」

「これより急加速を行います!総員至急シートに体を固定してください!」

 

 カイヤ船長の命で、セリアが船体制御、アリーシャが船内放送を行う。

 

 自由の女神(statue of liberty)号と呼んでいる彼女らの宇宙船は全長300mほどで(セイル)を開いた状態だとまるで鳥に見えた。流線形の船体は今はその羽を折り畳み加速に備える。

 

 セイルは恒星風推進に使ったり、発電をしたりする。この時代は霊子を貯める蓄霊凝縮装置(Aether Condenser)がないため、開魂者(Openian)が操船していない場合のエネルギー確保用だ。

 この宇宙船は船長であるカイヤ・ノースウッドが操船している。乗組員は全員開魂者だが、カイヤが一番霊力が高い。

 

「船長より総員!耐G姿勢!カウントダウン5、4、3、2、1、レーザー点火!」

 

 ズドンという振動と共に急加速によるGでシートに体が押し付けられる。

 

 船体後尾の3つのノズルから核融合反応により推力を得て、海賊船に急接近した。モニタに映るセイルを畳み始めている船影がみるみる近づく。

 

 このままの速度でぶつかると海賊船を真っ二つにしてしまう。

 

「減速まで3、2、1、スラスター点火!減速!」

 

 今度は逆にシートから飛び出るようなGが掛かる。シートの安全バーで体を固定していないと大けがしそうだ。

 

「アリーシャ敵船の内部構造を表示!」

「了解。側面中央辺りの通路が適切かと。メインモニタに赤いラインで表示します」

「ありがとう!これより衝角戦に移る!船体強化!」

 

 カイヤが船長席のひじ掛けにある(こぶし)大の紅玉を握りこむ。紅玉は操縦球(Control Sphere)と呼ばれ、霊力増幅機(Aether Amplifier)に直結されている。霊子(Aetherion)を流し込むイメージを浮かべ、霊殻体(Aether Force Shell)強化を行った。

 

 海賊船からレーザーやミサイルの攻撃が来るが、強化した霊殻体には傷一つ付かない。

 

「敵艦と接触する!全員対ショック!」

 

 また大きな振動があり、鳥のくちばしに相当する部分の衝角が海賊船に突き刺さった。

 

「セリア、船内状況確認!アリーシャ、強襲乗船準備!」

「船体に異常なしだよ!」「衝角準備ルーム。強襲乗船準備してください」

 

 過去の地球での衝角戦は、船首水線下の衝角で敵船の船腹を突き破って浸水させるのが目的だ。しかしここは宇宙空間。浸水は無く、空気漏れも自動で塞がれるようになっている。

 

 目的は敵船への強制乗船。




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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