【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第五十九話 相棒
Part-A


「ツクモ! 待って!」

「ナナか」

 

 会議室を出たところで、呉ナナが春日ツクモを呼び止める。

 

「すまん、先に『かが』に戻っていてくれ。俺は『いずも』に寄って、HFを借りてから戻る」

「……本気なの? 飛行長が自ら出るなんて」

「横田と星菱に突撃を、他国の国王には一騎打ちを提案した身だ。発案者が前線に出ないなんて、俺の流儀に反するからな。正直なところ、入間先輩の提案は渡りに船だったよ。HFがなければ、フランクスからでも借りようかと思っていたくらいだ」

「でも……」

「まあ、ブランクはあるさ。だが訓練の合間に何度か借りて乗っていたし、全く動かせないわけじゃない。一機くらいは、きっちり落としてみせるさ」

「……」

 

 何を言っても無駄だと悟ったのか、ナナは押し黙った。ツクモはそんな不満げなナナの頭を、子供をあやすようにポンポンと叩く。

 

「もう、子ども扱いしないでっ!」

「心配するな。この戦争が終わったら、ナナに伝えなきゃならないことがある。だから死なんよ。……ん? これじゃあゴウガが言っていた『フラグ』ってやつになっちまうか?」

「フラグは自分で折るものだって、三沢さんが言っていたわ」

「そうだな。じゃあ、行ってくる」

 

 ツクモは手をひらひらと振って歩き去る。ナナは立ち尽くしたまま、遠ざかるその背中をじっと見つめていた。

 

――

 

「レインボータワー。こちら春日ツクモ3等武佐。着艦許可を願う」

『春日3佐、こちらレインボータワー。話は通っております。『かが』飛行甲板への着艦を許可します』

「了解、感謝する」

『恐れ入ります、作戦用のコールサインはどう登録しましょうか?』

「ああ、そうだな。……昔使っていた『オーガー01』で頼む」

『了解です、登録いたします。……え? 既に登録データが残っていますね。これは……撃墜数(スコア)202機!?』

「昔の話だよ……」

 

 十年前、ホクジ事変と呼ばれる激戦でツクモが叩き出した驚異的なスコア。旧式の航空機型機動戦闘機が大半とはいえ、敵のHFも10機以上を屠っている。『春日の鬼虎徹』という二つ名が銀河に轟いたのは、この時の功績によるものだ。

 

(あの頃の俺は18歳か。……今のあいつらと、ちょうど同じくらいだな)

 

 ツクモは黒い装甲に赤いラインが走るHFをエレベーターで降ろし、自らの足で歩かせて格納庫の定位置へと係留した。操魂球(Cockpit Sphere)からデッキに降り立つと、一人の男が待ち構えていた。

 

「こいつが52型か」

「おやっさん、急に悪かったな。整備を頼む」

「いいってことよ。新型に触れるのは整備士の冥利に尽きるからな。……まあ、基本フレームは見慣れた近衛仕様だが」

 

 『かが』の整備班長とツクモは旧知の仲であり、彼こそがツクモが近衛から唯一引き抜いた信頼の置ける男だった。

 

「それと、94番のコンテナを出してくれ」

「……本当に、あれを使うのか」

 

 整備員がリフトで運んできた細長いコンテナが、52型の傍らに置かれる。

 

 重厚なハッチが開くと、中にはHFサイズの巨大な刀が収められていた。ツクモは愛惜を込めてその刀身に触れる。

 

「長く寝かせていて悪かったな、相棒。……これで最後だ。行くぞ、長曽祢虎徹」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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