【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

212 / 292
Part-B

「あれが俺のターゲットか……」

 

 スクリーンでマークされているのは、赤いHF。皇帝直属の親衛隊のはずだが、機種が連邦のストライクイーグルだ。武器も両手斧バトルアックスでなく、騎士盾と片手剣だった。

 

 恐らく黒鷲部隊と呼んでいる連邦軍の亡命者だ。この短期間に皇帝の側近になっているということは相当の実力者なのだろう。

 

 春日ツクモは久々の戦場で少し緊張していた。HFと同調し、近接武器を握りこむ。

 

 向こうもこちらを認識したのか、赤いイーグルが向かって来た。

 

「さあ長曽祢虎徹。よろしく頼むぞ。力を貸してくれ!」

 

--

 

 月面上空では様々な光の線が入り乱れ、直線や曲線を描き、時折光の爆発も起きている。その一つ一つがHFであり、爆発の結果脱出できていればいいが最悪死亡もありえる。

 

 彼らはユイのために時間を稼いでくれていた。皆のために一刻も早くコアに向かいたいが。

 

『HFのトラブルで出遅れたが、結果的にユイと会えてよかった。ユイに紹介するわ。彼が私の愛する夫であるジークよ。私達2人でアリスタルコスベース突破を阻止させて貰う。今こそ愛の力をみせ……』

 

 通信を繋いできた帝国軍のヒルダの口がぺらぺらと止まらない。

 

「だあああああ!!のんびりおしゃべりしてる暇はないのよ!レイはもう1人をお願い!」

『了解』

 

 薙刀を構えヒルダと対峙する。レイも相手を連れて離れてくれた。冷静にさっきのヒルダの言葉を考慮すると、こちらの目的地はアリスタルコスクレーターだと思っているようだ。アダムズクレーターのことは気づかれていないらしい。

 ヒルダ達を撃退して早く反対方向のアダムズクレーターに向かいたい。

 

「ヒルダ!決着を付けるわよ!」

『望むところだユイ!』

 

--

 

 レイは熱い女同士の戦いから離れ、もう1機のHFを引き連れ離れた。相手もそれを考慮してくれているのか、着いてきてくれている。

 

 相手の機種は駆逐戦士型HFヤークトティーガーと表示された。一般兵のHFティーガーと違う、いわゆるエース専用機だ。

 

 ユイ達から十分離れた所で対峙すると通話を繋げてきた。

 

『私は第52戦闘航空団(Jagdgeschwader52)第I飛行隊長のジークフリート・ビルケンフェルト少佐だ。よろしく頼む』

「ボクは401飛行隊の星菱レイ2等武尉。ユイの邪魔はさせない」

『ああ、私も妻ヒルダの邪魔はさせない』

 

 初撃はレイから。太刀の袈裟切りは巨大な両手剣で防がれる。

 

 何合か打ち合わせると相手の実力が見えてきた。巨大な剣を持った相手、例えば連邦軍のビリーなどと同じように力任せで振り回すのではなく、高い技量を持って、重い両手剣を軽々と片手剣の様に操っている。

 

(強い!)

 

--

 

 あまり時間を掛けられない。最初から全力で行く。ユイはそう決意した。

 

 短く持った薙刀をくるりと回転させ背に回し片手を開いて相手に向ける。

 

『はっは!ユイ!それは前にも見たぞ!』

 

 ヒルダはそう言って長槍(ロングスピア)の石突に近い所を持ち、槍の長さを最大限に生かす構えを見せた。

 

『その構えは相手を誘ってカウンターを狙う技だな!手のひらは間合いを正確に測るためだったか。そうはさせん!』

 

 その構えから強烈な突きを繰り出す。大気中であれば、空気を穿つボッという音も聞こえそうだ。

 

 ユイは構えを解いて、一歩下がる。

 

「くっ!」

 

 ただの突きではない。魔術の炎を纏った穂先は容易く装甲を貫く。ただでさえ今は重力下で防御力が弱まっている。一撃でも食らったらそれで終わり。

 

『そらそら!どうしたユイ!』

 

 月面の1/6の重力では足元がおぼつかず、フワフワしている。霊力場(Aether Force Field)もないため、部分的運動エネルギー付与を使った体裁きもできない。

 

 それでも何とかステップを駆使して避けているが、ヒルダの槍裁きはどんどん加速してくる。槍の軌道も柄のしなりを使って不規則にユイを襲う。

 

(ダメ!捌ききれない!)

 

 薙刀で捌いているが、ブルーリボン01の装甲の一部を掠り始める。

 

『これで決める!刺突五連撃(Penta thrust)!』

 

 高速の五連撃。ブルーリボン01は装甲貫通こそなかったが、いくつかのモジュール装甲が破損し小破。

 

 そして

 

 キラキラと光を反射したものが回転しながら、後方に落ちた。

 

「薙刀の刀身が!?」

 

--

 

(テン・シント流極意ミカヅキの小太刀)

 

 レイはジークフリートの両手剣を小太刀で受け流す。ちょっとでもバランスが崩れたらと思ったが、敵は見事な足さばきで姿勢を崩すことなく後退した。

 

(つ、強い!師範の次くらいに!)

 

 レイにとっては最大級の賛辞だ。

 

 太刀術も両刀術も極意小太刀術も試したがまったく通じない。

 

 ジークフリートは月面の1/6重力下でも、体の重心がまったくブレない。こちらが打ち込んでも軽くいなし、受け流ししきれない鋭い斬撃を放つ。

 

 剛の技、柔の技、どちらも極めた剣術で巨大な両手剣を操る。

 

 なかなか突破口を開けないでいると再びジークフリートから通信が入る。

 

『貴公は強い!敬意を払い最高の技を使わせて貰う!』

 

 そう言うと両手剣を大上段に掲げた。

 

『魔剣グラムよ!主神ヴォーダンの怒りを持って巨大な魔竜ファフニールを討つ力を!』

「魔術攻撃!?」

 

 完全な剣士と思っていたレイは驚愕した。

 

 両手剣が輝き始め光る刀身が伸び、200mほどの巨大な光の剣へ。

 

『これで決めさせてもらう!』




評価、ご感想お待ちしています。

【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。