【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「いっそのこと暗殺するのはどうですか?」
「何度も試したさ。しかし全て失敗している。女の両脇に2人いるだろ」
青の聖女の両脇には、青いローブ姿でフードを目深に被った2人がいた。向かって左側は背が低く女性的。右側は背が高くがっしりした体型の男性だ。
「はい、顔は見えませんが」
「女の方は高位の魔女らしい。あの魔女に狙撃などを阻止されている」
「魔女にそんなことが?」
「ああ、あの魔女には何かバックもあるようだ。こちらの情報を事前に察知されている」
「背後に組織がいるんですか……」
「それは本局も掴めていない。そして、もう一人の男だが……」
上長らしき男は言葉を止め、帽子で目線を隠すようにして路地裏へ隠れた。もう一人は突然の行動に戸惑う。
「どうしましたか!?」
「目線が合った。見つかっただろう。逃げるぞ」
「え!?」
上長らしき男は走り出した。慌てて後をついていく。路地裏から路地裏へ、追跡を撒くように走り続ける。
「あれで見つかったんですか!? 何者なんです、あの男は!」
「バイパー・ゼロと呼ばれる男だ」
「バイパー・ゼロ?」
「コードネームか何かは分からんが、本名ではないだろうな」
数分走り続け、かなり奥まった場所まで来た。そこでようやく足を止める。
「ま……待ってください……息が……」
「そうだな。一旦息を整えよう」
「そのなんとかゼロってやつ、そんなにヤバイんですか」
「ああ、エージェントが何人もやられている」
「そいつ、何者なん……」
男は最後まで言えなかった。言葉を発しようとした口は、首ごと宙へ。
「な!?」
頭部を失った首から鮮血を噴き出しながら、体が倒れる。
その背後には、青いローブを纏いフードを目深に被った男が立っていた。
「バッ……バイパー・ゼロ!」
懐にあったレーザー拳銃を構えようとするが、既に対象はそこにはいない。
次の瞬間、上長らしき男の意識は断ち切られた。どさりとその場に崩れ落ちる。
青いローブの男は路地裏の壁の方を見て呟いた。
「当身で気絶させました。背後調査に使ってください」
まるで独り言のようだったが、見つめる先の空間が歪み、徐々に色づいて動甲冑姿が現れた。
『いやぁ、ナノボットを使った最新式の熱光学迷彩だったんですが……』
「気配で分かりました」
『さすがですね。バイパー・ゼロ。いえ星菱レイ2等武尉』
ローブの男がフードを外すと、くせ毛気味の赤髪が見えた。先ほど振るった刀にわずかに残った血を払い、納刀する。
「
『すみません、規定で答えられません。その男の身柄と死体の処分は、我々で行っておきます』
「情報は引き出せそうですか?」
『古代呪術を使う術士がおりますので精神操作が可能です』
「了解です。よろしくお願いします」
レイは一礼すると路地の壁を交互に蹴り、建物の屋根に登る。あっという間にその場から消えた。
残された動甲冑の男は気絶している男を担ぎ上げる。
『あれが『血色の影』か。さすがテン・シント流免許皆伝だな……』