【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
青の聖女と呼ばれた女性が演説を終わらせると、観衆から握手攻めに遭う。若い男性から主婦、老人まで、様々な人が感想を述べてくる。
アイドルというよりは、見世物のパンダ(この時代にも生息しているらしい)のようだとは本人談。銀河ネットで有名になってからずっとこんな調子だ。
最初は数人の主婦が井戸端会議をしていたところに、旅行者であることを説明して加わったのが始まりだった。初めは不審に思われていたようだが、彼女の親しみやすい性格であっという間に溶け込み、主婦たちから色々聞き出すことができたのだ。
同じように対話を重ねるうち、彼女の考えを聞いてくれる人が増え、いつしか演説をするようになった。
彼女は連邦の各州を移動しつつ見聞を広めていた。連邦内でも貴族が横暴な州や、逆に善政を敷いている州。平和だったりテロが起きていたり、様々な場所、立場、職種、様々な人々をその目で見てきた。
青の聖女こと、横田ユイがこうした行動を始めたのは約半年前からだ。
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フランクス王国が汎ペルセウス帝国に勝利してから少し経った頃。皇国軍も故郷への帰還準備を進めていたが、ユイは急な呼び出しを受け『いずも』の会議室に向かった。
女帝やフランクス国王、ユイの父である横田ハジメが揃う会議室。そこで通信モニター越しに出会ったのが、スージー・アツギと名乗る女性だった。
『
「は、はい、私が横田ユイです。えっと、アツギさん?」
『スージーでいいですよ。今回お話があるのは、他でもないユイさんに関する情報です』
「私の?」
全く心当たりがない。スージーと名乗る女性は"赤髪の魔女"というらしい。確かサン・ディエゴと同じ四大魔女の一人だ。そんな高名な魔女がなぜ私の情報を?とユイが疑問に思っていると、魔女は深刻な表情で切り出した。
『貴女の身に危険が迫っています』
「え?」
『12貴族に貴女の存在が知られました。王国の報道が『調整役』と呼ばれるアンソニー・アンドルーズの耳に入ったようです。貴女のお母さまを暗殺した貴族に』
スージーの説明では、ユイの母ユリアを暗殺した貴族が、今度はユイを狙っているという。ユリアの本当の名前はユリアーネ・マリー・フォン・デヴォンポート。始まりの四家の一つ、デヴォンポート家の末裔だった。そして12貴族は始まりの四家を敵視し、暗殺し続けているらしい。
そしてユイもユリアの娘なので、始まりの四家の末裔ということになる。
続く