【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
『……それは、お母様の遺志を継ぐということですか?』
「はい!」
ユイは決して衝動的に決めたわけではなく、その瞳には強い決意が宿っていた。
「だめだ! 危険すぎる!」
「お父さん」
誰よりも早く反対の声を上げたのは、父である横田ハジメだった。
「暗殺なんて、家にいれば安全なんだ! お父さんが絶対に守るから!」
「お父さん、ありがとう。でも、いつまで引きこもっていればいいの? 1年? 5年?」
「ぐっ……」
「それとも一生? 私が将来、結婚して子供ができたらその子は?」
「こっ、子供っ!?」
父の気持ちは痛いほど分かる。心からユイを心配してくれているのだ。しかし、逃げ続けるだけの人生は真っ平ごめんだ。
「おじい様も言っていたわ。攻撃は最大の防御だって。どこにいても危険なら、あえて連邦に行くのも一つの手だと思う。それに、お母さんのしたかったことを、この目で確かめてみたいの」
「ユイ……」
ハジメは言葉を失った。
黙って父娘の会話を聞いていたスージーが口を開く。
『分かりました。私が使えるあらゆる手立てを尽くして、ユイさんの目的を全力でサポートします』
「スージーさん!」
『絶対にユイさんのことをお守りしますからね』
「はい!」
スージーとは初対面だが、四大魔女としての噂は聞いている。連邦へ行くにあたって、これほど心強い味方はいない。
『ハジメさん。お嬢様をお預かりします。よろしいですね?』
「ぐぬ……貴女がそうおっしゃるのであれば……」
(あれ? お父さんとスージーさんはお知り合いなの?)
と、ふとユイが疑問に思ったとき、女帝が顔を上げて宣言した。
「もちろん、皇国も全力でサポートします」
「え? 陛下! これは個人的なことで……」
「違いますよ、ユイさん。連邦の情勢は皇国の安全保障に直結します。それに、
「陛下……」
女帝の決意を、ユイが止めることはできなかった。
「フランクス王国も、できうる限りの協力をしよう。友人であり、王国の恩人を助けるのは当然のことだ」
「国王陛下まで……」
フランクス国王も力強く頷きながら、助力を約束した。
(あれ? なんだか大事になってきた?)
まずは自分の考えていることを正しく伝えねば、とユイは言葉を継いだ。
「ちょ、ちょっと待ってください! 私一人で何ができるか分かりませんし、連邦のこともまだよく知らないんです。まずは自分の目と耳で、連邦が抱える問題を把握したいと思っています」
さすがに、前連邦首長や前教皇から信頼されていた母と同じことが、今の自分にできるとは思えない。連邦で何が起きているのかを自分の足で確かめた上で、自分にできることを考えたいのだ。
『見聞を広めるのは大切なことです。私と一緒に連邦の各州を回りましょう』
「それは心強いです。あ、もう一人同行させたいのですが……」
『はい、もちろんレイちゃ……星菱レイ君ですね』
(ありゃ、そこまで知られているのか。何者なんだろう、この人は)
『では、3人で連邦を回りましょう』
「はい……半年ください。その期間で、自分に何ができるかを見極めたいと思います」
『分かりました。女帝陛下、国王陛下、横田ハジメさん、よろしいでしょうか?』
会議室の面々が、静かに頷く。
「ごめんね、お父さん。わがまま言って」
「一度決めたら一直線だからな、ユイは。まったく、ユリアにそっくりだ」
「そっか。お母さんと同じ……」
「ああ、気をつけるんだぞ。レイ君にも
「ん? うん」
『では諸々の準備を整えます。整い次第、連絡しますね』
「よろしくお願いします。レイにも言わないと」
『ええ、お二人に会えるのを楽しみにしています』
「はい! 行きましょう! 地球自由連邦へ!」
続く