【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第六十六話 動揺
Part-A


 演説の後、聴衆からの握手攻めがようやく終わり、ホテルに帰ってきたユイ。

 

「はー、疲れた~」

 

 部屋のベッドにどさっと腰を下ろす。そこへ、小柄な女性が突っ込んできた。

 

「おつかれー! ユイちゃん!」

 

 ユイに抱きつき、押し倒す形になる。そのままお腹に頭をぐりぐりと押しつけてきた。

 

「はいはい、スージーちゃんもお疲れ様」

 

 押し倒された状態のまま、目の前にある赤髪の頭を撫でる。ユイの身長が165センチで、スージーが150センチ。立っていると身長差からちょうど良い位置に頭がくるので、スージーの強い要望もあってよく撫でているのだ。

 

 スージー・アツギと最初に通信で会話した時は、とても頼りになりそうな年上の女性だと思っていた。

 

 しかし、実際に会ってみると大分印象が違う。皇国での成人である15歳くらい、それよりもさらに幼く見えた。通信の時の落ち着いた雰囲気ではなく、天真爛漫で元気な少女。それが初めて会った時のスージーの印象だ。

 

 最初「アツギさん」と呼んだら「スージーちゃん」と呼ぶように言われた。よく抱きついてくるし、距離感が極めて近い。

 

 四大魔女とのことで、旅の仲間として頼もしく心強い存在だと思っていたが、これはこれで一緒に旅をするには気楽で良かった。

 

 時折どこかと連絡を取っているので、裏で何かを画策しているのは間違いない。実際、旅を始めてから一度もトラブルが起きていないのは、彼女が裏で色々と動いてくれているからなのだろう。

 

 ちなみに「何歳なの?」と聞いたら「ないしょっ」とはぐらかされた。

 

「ユイちゃん、演説の手応えはどうだった?」

「んー、まあ野次馬的な人も多かったけれど、真剣に聞いてはくれていたかな」

 

 連邦の実情を知る旅。最初は、人々に語りかけることから始めた。

 

 おばちゃんたちの井戸端会議に突撃したり、道行く人に話しかけて不審がられたり、酒場で飲んだくれているおっさんたちとワイワイ騒いだり。沢山の、あらゆる世代の人々と話をした。

 

 市民だけではなく、スージーの伝手で貴族とも直接会った。普通は会えないような高位の貴族のもとには、メイド服を着て使用人として潜り込んだこともある。

 

 立場も職業も異なる多くの人々――商売人や軍人などとも会話を重ねた。

 

 農業が盛んな惑星で、農場を経営している老人を訪問した時のことだ。

 

--

 

 老人は畑の土を一つまみ口に入れた。それを見ていたユイは、驚いて問いかける。

 

「……美味しいんですか?」

「美味いわけなかろう」

 

 土をぺっと吐き出して、老人は答えた。

 

「土の状態を確認していただけだ」

「それで分かるんですか?」

「ああ。微妙な違いがある」

 

 目の前の広大な畑では、農作業用のキューボット(Cubot)が動いていた。大きな立方体のロボットが重力制御で浮きながら、大量の小麦の刈り取り作業を淡々とこなしていく。

 

「AIでの分析などはされないんですか?」

「そんなもん、当てになるか」

「そんなものですか」

「AIはあくまでも道具だ。人間が食うものは、人間の手で確認しなきゃならん」

 

 しばらく無言で、小麦の刈り取りを待つ黄金色(こがねいろ)の海を眺める。

 




評価、ご感想お待ちしています。

【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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