【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
レイは周囲を警戒し見回ってから、少し遅れてホテルに戻ってきた。
「あ、レイちゃんお帰り~」
廊下でスージーとばったり出くわす。
「どうだった?」
「気絶させて皇軍に引き渡してきた。何か分かれば教えてくれるらしい」
「りょーかい。ご苦労さま」
「ユイは?」
「部屋で寛いでいるよ。んで、これ渡しておくね」
スージーから部屋のカードキーを渡される。
「これは?」
「ユイちゃんの部屋の鍵」
「は?」
たたっと距離を取ってから、笑顔で振り返るスージー。
「ユイちゃんが『もう大丈夫』だってさ!」
「そうか」
「なので、私は次のための準備をするからちょっと不在になるね。今晩は二人っきりにしてあげるっ!」
「分かった」
「ちょっとちょっと」
くいくいと「しゃがめ」というジェスチャーをするので、軽く腰を落とす。レイとスージーでは30センチ近い身長差があり、それでも届かないスージーは背伸びして、彼の耳元に口を寄せた。
「ちゃんと避妊するのよ?」
「んなっ!」
「じゃーねー!」
手を振りつつ、彼女は去っていった。ポツンと残されたレイ。
「相変わらずだな……」
レイは、スージーと出会った時のことを思い出す。
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スージーと初めて会ったのは、連邦の宇宙港だった。
皇国からの観光客として、ユイとレイは連邦に入国した。ユイはユイフィリア、レイはレイジという偽名のまま、公式に発行されたパスポートで税関を無事通過する。
連邦内での案内人となる女性と、ロビーで待ち合わせる。ユイから聞いた話では、スージー・アツギという名前で、「赤髪の魔女」と呼ばれる四大魔女の一人らしい。
とても頼りになりそうだとユイは言うが、レイは見知らぬ人物を警戒していた。そもそも連邦に入ること自体、敵中に飛び込むようなものだ。警戒の上にも警戒を重ねても足りないくらいだった。
緊張を維持したまま女性を待っていると、小柄な少女がスタタタタと走ってくる。「両親とはぐれたのかな?」とユイが呑気に言っていると、
「ユイちゃーん!」
「な!?」
その少女がいきなりユイに抱きついてきた。動揺するユイ。
「あの?」
「やっと会えたね! ユイちゃん! スージー・アツギです!」
「ええー!」
通信越しでは落ち着いた口調で年上に感じたが、確かに童顔にも見えた。実際に会ってみると背も低く、子供にしか見えない。
「えっと、私が横田ユイで、こちらが星菱レイです」
「ども」
「はい! よろしくね! ユイちゃん! レイちゃん!」
「あー、はい、よろしく……ちょっと、お花摘みに行ってくるね……」
何やら混乱しているらしいユイが、落ち着くためにトイレに向かった。
残された二人。
「これからヨロシクネ! レイちゃん!」
「……」
スージーをじっと見つめるレイ。
「あのさ」
「ん? なあに? レイちゃん」
「なにしてるのさ? 母さん」
続く