【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

238 / 292
Part-B

「そんなわけないでしょ。例え数年とはいえ、私がユイちゃんを育てたのよ。娘みたいなものだわ。それに連邦に渡ったもう一つの目的は、ユイちゃんのお母様、ユリアについて調べるためでもあったの」

「ユリアさんの?」

「ええ、当初は事故だと言われていたけれど、不審な点が多かったからね。調べるうちに12貴族の秘密に迫ったの。それが今回の件にも関連して、情報を入手できたわ。ユイちゃんが狙われているって」

「12貴族か……」

 

 あらましはレイも聞いている。ユイを暗殺しようなど、到底許せることではない。

 

「でも、ユイちゃんがユリアの遺志を継ぎたいと言った時は、正直嬉しかったわ。危険ではあるけれど、ユリアの娘らしい決断よ」

 

 スージーことカズミは、ユイの母親ユリアと親友だったらしい。レイはよく覚えていないが、親友というならそうなのだろう。ユイが自らの意思で選択したのであれば、レイはその道に従うまでだ。

 

「分かったよ。ユイの決断であればそれでいい」

「ユイちゃんのために、アナタにも働いてもらうわよ」

「もちろん」

「これから敵になるのは、千年近く連邦を支配してきた12貴族よ。連邦すべてを敵に回すようなもの。それには綺麗事だけでは済まないわ」

「うん、ユイには光だけを見ていてほしい。影の部分は僕が担う」

 

 固い決意を宿した表情で、レイは即答した。

 

「もうそこまで覚悟が決まっているのね。……本当に成長したのね、あの泣き虫レイちゃんが」

「今年で19歳だよ。ちゃん呼びはやめてくれ」

「そうね。大きくなったわね……頭を撫でてあげる」

「断る」

 

 スージーが頭を撫でようとしたが、身長差があって全然届かない。レイも頭を下げてくれず、すげなく断られる。

 

「いいわよ、飛ぶから」

「え?」

 

 指をパチンと弾くと、スージーがフワッと浮き上がった。レイの背丈より高く浮き、頭に手が届く。魔術でしかないが、普通、生身では不可能な芸当だ。

 

「なにやってるのさ!」

 

 珍しく慌てるレイ。こんなところを誰かに見られたら、と周囲を見渡したが、通行人の誰も注目していない。むしろ避けて通るように、誰も近づいてこない。

 

「大丈夫よ。人除けの術を使っているから。古代呪術の応用ね。この体になってからできるようになったの」

 

 ふわふわと浮きながら、スージーはレイの頭をなでなでする。

 

「この力でユイちゃんを守るんだから。受け入れなさい」

「まあ、いいけど」

 

 もう一度、指をパチンと鳴らすと、スージーがストンと降り、周囲も避けるような仕草を見せなくなった。術を解いたようだ。

 

 その時、ちょうどユイがトイレから戻ってきた。

 

「ユイちゃーん!」

 

 スージーがユイに向かって走っていき、抱きつく。ユイは困惑した表情ながらも、それを受け入れた。

 

(母さん、確か今年で四十(ピー)歳だったような……)

 




評価、ご感想お待ちしています。

【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。