【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第六十八話 旅立
Part-A


 上空から突如として現れたのは、HFF-16とは細部の装備が異なる青色のHFだった。それは立ちはだかる敵機を背後から一刀両断にした。

 

 しかし、まだ終わってはいない。後方からさらに2機の敵HFが姿を現した。

 

『ローズ・ナイト。姫を頼む』

 

 通信を繋いでいた元同僚、三沢ゴウガが別の機体に指示を飛ばすと、上空からさらなる一機が降下してきた。HFF-16をカスタマイズしたその青い機体は、左肩にペリースと呼ばれるバラ色のマントを装備していた。

 

『姫! こちらに!』

 

 「ローズ・ナイト」と呼称されたそのHFの外部スピーカーから響いたのは、半年前の仲間だったフランクス人の女性、デルフィーヌ・ランディヴィジオの声だった。

 

「その声はフィー? それに姫ってアタシのこと!?」

 

 デルフィーヌのHFが手を差し出した。ユイにそこへ乗れという合図だ。

 

 レイは抱えていたユイを降ろし、HFへ向かうよう促した。ユイは戸惑いながらも巨大な掌に乗り、指を掴んで落ちないように身を固定する。

 

 それを確認するとローズ・ナイトは跳躍し、上空へと退避して姿を消した。

 

「それでいい。ユイが最優先だ」

 

 残されたレイに、再び通信が入る。

 

『バイパー・ゼロ。お前にはまだ働いてもらうぞ』

「ああ」

『2時方向を見ろ』

 

 またしても唐突に、空中から青いHFがゆっくりと降りてきた。着陸した機体は片膝をつき、左手の手のひらを降ろして前面装甲を展開する。操魂球を露わにして姿勢を固定したその姿は、搭乗を促す降着ポーズだった。

 

 レイにこれへ乗って戦えという意思表示だろう。

 

「乗ったことのない機体だ」

 

 レイにHFF-16の搭乗経験はない。通常、機種転換を行う場合は、何週間もの訓練期間を要するものだ。

 

『あー、乗れば分かる。俺は1機を相手にする。もう1機を頼むぞ』

 

 そう言い残し、ゴウガは通信を切った。

 

 ゴウガの機体がゆっくりと動き出す。

 

 HFが本領を発揮できるのは、本来は無重力の宇宙空間だ。霊力場(Aether Force Field)を展開し、超高速で空間を駆け巡る。

 

 しかし重力圏内である惑星上ではそうもいかない。重力制御を用いると防御が疎かになるため、人間のように脚部を使って移動することになる。

 

 それでも、40m級の巨人が動く様には凄まじい迫力があった。全力機動を行えば、その手足の先端は時に音速を超え、衝撃波を撒き散らす。それはまさに人型の嵐そのものだった。

 

 HF同士の戦闘に巻き込まれないよう、レイは全速力で新たなHFへと駆け寄る。

 

 外観はHFF-16ファイティングファルコンに近いが、細部が異なっている。HFF-16カスタムといったところか。塗装はディープオーシャンブルーとシャロウオーシャンブルーという濃淡二色の青色で塗り分けられており、かつての航空機に見られた洋上迷彩を彷彿とさせた。HFF-16の標準カラーである灰色とは明確に区別されている。

 

 HFの手に乗ると自動で持ち上げられ、操魂球の目前で停止。レイは迷わず乗り込み、操魂球の中へと身体を溶け込ませた。

 

 次に目を開けた時、彼は仮想空間のコックピットに座っていた。

 

「これは……」

 

 コックピットの計器類を見て、レイは驚愕した。似ているなどというレベルではない。

 

 コンソールを表示させ、システムバージョンを確認する。

 ”HHI-HFOS Ver.A6M.21”

 星菱重工(Hoshibishi Heavy Industry)製ヒューマンフレームオペレーションシステム、Ver.A6M.21。

 

 これは、星菱零式人型機動戦闘機21型用OSのバージョンだった。

 

 レイが乗り慣れてきた星菱零式HF、そのものだったのだ。外装こそHFF-16を装っているが、中身のフレームとシステムは零式のままだった。

 

 ゴウガの言った「乗れば分かる」とは、こういう意味だったのだ。

 

 意識を同調させて腕を動かす。慣れ親しんだ、心地よい感触が伝わってきた。

 

「ありがたい。これなら全力を出せる」

 

 装備を確認すると、重火器はなく、HF用の刀がマウントされていた。その刀のステータス画面には、一つの銘が添付されていた。

 

 ”長曽祢虎徹”

 

 確か、春日飛行長の私物だったはずだ。それを譲ってくれたということか。

 

 レイはHFF-16カスタムを立ち上げ、鋭く抜刀した。

 

「バイパー・ゼロ、エンゲージ」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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