【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「困ったことをしてくれたね。フランシス卿」
12貴族専用仮想会議空間。
本来であれば12人が暗闇に投影されているはずだが、空席が多い。
エクス教関係者と帝国侵攻で捕らえられた4家分は脱退。マルムストローム卿が魔術同盟からの呼び出しで欠席。12の席に7人しか座っていない。
12貴族の席は入れ替わるため、通常は欠員が出たら新たな貴族がその席に入るが、今はそれどころではなかった。
「何が問題だというのだ。エルメンドルフ卿。儂は甥の領地を取り返しただけだ!」
議題はボストン星系州で起きた事件。都市への軌道爆撃だ。
あの事件は瞬く間に銀河国家群に広がった。
大八洲皇国はもちろん、フランクス王国とローマリア共和国が合わさってできたプレアデス連合王国。そして皇帝が入れ替わったばかりの汎ペルセウス帝国からも非難声明が出ている。
連邦内の主要なメディアは12貴族からの要請で報道していなかったが、銀河ネット全てを抑えることは不可能であり、連邦内でも知られることになった。
「地球条約は連邦主導で締結したものだ。連邦内で破ってしまっては面目丸つぶれではないか……」
「エルメンドルフ卿! そんなことではない! 領民を攻撃するとは何事だ!」
机をダンっと叩いて激昂しているのはエドワーズ卿。ビリーの父親であり連邦軍の高官でもある。エルメンドルフ家とエドワーズ家は多くの軍人を輩出している2大貴族だ。
「落ち着いてくれエドワーズ卿。もう起きてしまったことは覆せない。フランシス卿の処遇は一旦置いておいて、対応を決めねば」
「むぅ……」
「儂は悪くない!」
外国からの非難声明もそうだが、攻撃を受けた北東部の星系州が猛反発している。13の州が独立を宣言。
「事件で大きな反発を招いてしまったが、以前より計画していた北東部星系州の平定作戦を前倒しで進めるということでよろしいか?」
エルメンドルフ卿が主導して議事を進める。
「……反対はないな?では領地平定作戦を開始するということで。予定よりも早くなってしまうが他国の介入を許す前に、ことを済ませないとな。カデナ卿、カノープス運河の修復状況は?」
「後1ヵ月で稼働可能かと」
「分かった。それを基準に作戦計画を練りなおそう」
仮想会議空間のスクリーンに、北東部を中心とした銀河地図を表示する。
北東部には13州の星系州があり、その全てが連邦の管理下にない。それを再統治できるようにするのが作戦の目的だ。
独立など認める訳にはいかない。