【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第七十一話 赤髪
Part-A


「まったく、無能ばかりだな……」

「まあまあ落ち着いてください、レジー殿」

「アンソニー……」

 

 アンソニー・アンドルーズがレジー・エルメンドルフを取り成す。仮想会議空間を退出したが、2人はオフラインでも同じ部屋にいた。

 レジーは眉間に皺を寄せて呻く。

 

「それにしても、これで5人目か」

 

 12の席も5つが空席になった。いまや12貴族の名は有名無実化している。

 

「後任を設定するかね?」

「いやアンソニー。今はそれどころではない。今回と帝国に潰された2席はともかく、エクス教はまずいな……」

「そうだな。私独自の諜報機関『道具箱(ToolBox)』からの情報だと、新しい聖女教皇(ハイプリエステス)が貴族に敵対するような動きを見せているな」

 

 エクス教関係者のホワイトマン卿とエルスワース卿が前教皇の件で12貴族を脱退。中央協議会がコントロールを離れ、動きが読めなくなっている。

 エクス教は連邦の国教であると同時に銀河国家群にも広まっており、信者数は70億人とも言われていた。

 

「信者70億全てが敵に回るのはまずい」

「ふむ。調()()が必要だな。いっそのこと、首を挿げ替えるかね?」

「どういうことだ? アンソニー」

 

 顔を上げたレジーの視線が『調整役』であるアンソニーに向く。

 

「文字通り、エクス教のトップ、聖女教皇を入れ替えるのだよ」

「そんなことが……どうやって?」

 

 即位したばかりの聖女教皇ニューズ・パールハーバは信者からの人気も高く、前教皇の遺志を継ぐ者として活動していた。一部の貴族は、かつて一度握り潰した法案である「国民皆開魂保険制度」が復活するのではないかと恐れている。

 

「理由はいくらでも作れる。例えば、前教皇の殺害は彼女が仕組んだ……とかな」

「なんと……」

「貴族院や司法の聖職者は、まだこちらの息が掛かった者ばかりだ。情報工作で証拠はいくらでも出せる。まあ一時的に信者が騒ぐかもしれんが、北東部との戦闘に入れば、抵抗勢力をついでに潰せるだろう」

「……LBU軍のスパイとして処断するのか」

 

 エクス教と北東部の問題を一挙に解決しようとする策だ。

 

「しかし、そんなにうまくいくか?」

「なあに、連邦軍を使えばすぐに聖女教皇を捕らえられる。中央協議会は独自の軍隊、聖騎士団を持っているが、HFの型式が古い。連邦軍のHFには敵わないであろう」

 

 かなり強引だが、他に手が浮かばない。時間が掛かれば連邦が分断され、取り返しのつかない状態になってしまうだろう。

 連邦の安定のために多少の犠牲はやむを得ない。レジーは、貴族支配による連邦の維持こそが最優先と考えていた。

 

 レジーは少し考えてから決断した。

 

「分かった。そのように進めてくれ、アンソニー。こちらも動こう」

「了解した。ああ、そういえばレジー殿の耳に入れたいことがあったな」

「ん? なんだ?」

「青の聖女のことだ」

「最近、貴族制度について批判している扇動者(agitator)か。それがどうした?」

 

 銀河ネットで噂になっている青の聖女は、連邦内を逃げ回りながら平民に良からぬことを吹聴している……というのがレジーの認識だ。

 

「『道具箱(ToolBox)』の追跡を振り切って、行方を晦ませた」

「なんと。ただの小娘じゃなかったのか?」

「うむ。最新式のHFまで持っていた。どうやら何かバックがあるらしい」

「バック? なにか組織が関わっているのか?」

「それは分からぬ。エクス教かLBUか、はたまた外国勢力か」

「外国勢力?」

「まだ確定できていないが、どうやらその娘の特徴が、始まりの四家デヴォンポートの生き残りと酷似しているらしい。そうなると皇国が絡んでいる可能性がある」

「なんと。また問題が増えたな……」

 

 レジーが頭を抱える。ボストン軌道爆撃事件、北東部独立宣言、エクス教の離反、そしてこれだ。手が幾つあっても足りない。

 

「まあ、その件については私に任せてくれ」

「分かった。まったく、無能ばかりでアンソニーにばかり頼ってしまうな」

「レジー殿と私の仲ではないか」

「ああ、よろしく頼む」

 

 アンソニーはでっぷりとした腹を撫でながら、ニヤリと笑った。

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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