【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
『どういうことだ! マクスウェルのおっさん! いやマクスウェル・アンドルーズ!』
フランシスコ星系州フォルニア星にある聖都ノブヒル。そこはエクス教中央協議会の中心地で、グレース大聖堂や教皇庁などの関連施設が集中している。
郊外には綺麗な草原があり、本来であれば平和な光景が広がっていた。
しかし今は、その場にそぐわない無骨なHFが並び立っている。
聖都を守るように布陣しているのは、聖騎士団のHFF-8D クルセイダー。全身がエクス教の基本色である白で塗装されており、差し色として青いラインが入る。装備は巨大な鎚矛メイスと、エクス教のシンボルであるⅩが描かれた巨大なラウンドシールドだ。
対峙しているのは、
同数12機のHFが距離を取り、互いに睨み合っていた。
「先ほども言った通り、聖女教皇を前教皇殺害容疑で拘束するためだよ。ジョージ」
聖騎士団長ジョージ・ホワイトマンからの問いに、師団長マクスウェル・アンドルーズが答えた。2人とも既にHFに搭乗している。
『そんなことがある訳ない! 聖女教皇聖下は前教皇側に立っておられたんだぞ! 捏造だ!』
「そうは言ってもなぁ。
『それは12貴族の陰謀だ!』
「ふむ。それを確認するために聖女教皇の身柄を拘束させて貰う。後30分待つ。聖女教皇を渡すか決めろ」
『渡す訳ないだろ!』
「だろうな。その場合は戦闘だ。最強の防御を持つとされる聖騎士の実力。楽しみにしているぞ。以上だ」
『ちょっと待っ――』
ジョージが何かを言いかけたが、通信は一方的に切られた。
上空には輸送揚陸艦が待機しており、第4騎士師団HF部隊が聖騎士団を蹴散らした後、揚陸部隊を降下させて聖都に突入し、聖女教皇を確保する予定だ。
地上の戦闘においてもHFは最強の存在であり、対抗できるHFが不在であれば、他部隊は蹂躙されるほかない。
聖騎士団のHFの後方にも聖都防衛部隊が控えているが、味方のHFが壊滅させられれば、すぐに全滅するだろう。
双方、引き下がる気は全くない。白地に青で聖印のⅩが描かれている聖騎士団の団旗と、赤地に意匠化された城を守る2頭の竜が描かれている連邦軍旗が、風にたなびく。静かに時間が過ぎていく。
極限の緊張状態の中、マクスウェルが呟いた。
「時間だ。マリアナ、行け」
『はい! おししょうさま!』
マクスウェルを師匠と呼ぶのはマリアナ・アンダーセン。マリアナは12貴族の令嬢で、異常に長い黒髪を持つ小柄な少女だが、第4騎士師団に所属する手練れでもある。
マリアナのHFA-10Cが一気に聖騎士団の隊列に飛び込む。
背負っていた巨大な戦斧を一閃させると、2機のクルセイダーが真っ二つに分断されて吹き飛ばされた。
『アハハ! 次に戦斧『ウォートホッグ』の錆になりたいやつはどいつだ!』
外部スピーカーから、幼い少女の狂気じみた声が戦場に響き渡る。
「よくやったマリアナ。全機突入。蹂躙せよ」