【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第七十二話 聖都
Part-A


『どういうことだ! マクスウェルのおっさん! いやマクスウェル・アンドルーズ!』

 

 フランシスコ星系州フォルニア星にある聖都ノブヒル。そこはエクス教中央協議会の中心地で、グレース大聖堂や教皇庁などの関連施設が集中している。

 郊外には綺麗な草原があり、本来であれば平和な光景が広がっていた。

 

 しかし今は、その場にそぐわない無骨なHFが並び立っている。

 

 聖都を守るように布陣しているのは、聖騎士団のHFF-8D クルセイダー。全身がエクス教の基本色である白で塗装されており、差し色として青いラインが入る。装備は巨大な鎚矛メイスと、エクス教のシンボルであるⅩが描かれた巨大なラウンドシールドだ。

 

 対峙しているのは、第4騎士師団(4th Cavalry Division)所属のHFA-10C サンダーボルトⅡ。重装甲の鎧を纏い、頭部にはバケツのような円筒形のグレートヘルムを装備。背負った巨大な戦槌『アベンジャー』が異彩を放つ。

 

 同数12機のHFが距離を取り、互いに睨み合っていた。

 

「先ほども言った通り、聖女教皇を前教皇殺害容疑で拘束するためだよ。ジョージ」

 

 聖騎士団長ジョージ・ホワイトマンからの問いに、師団長マクスウェル・アンドルーズが答えた。2人とも既にHFに搭乗している。

 聖女教皇(ハイプリエステス)ニューズ・パールハーバがおわす聖都。そこに連邦軍の強襲があったのは、つい1時間前のこと。星系州の空域に警告を無視して侵攻してきたのは第4遠征打撃群(ESG)で、強襲揚陸艦LHD-505『バターン』から一気に12機のHFを投下したのだ。

 

『そんなことがある訳ない! 聖女教皇聖下は前教皇側に立っておられたんだぞ! 捏造だ!』

「そうは言ってもなぁ。連邦捜査局(FBI)で殺害計画の証拠が提出されているし、連邦裁判所から令状が出ているぞ」

『それは12貴族の陰謀だ!』

「ふむ。それを確認するために聖女教皇の身柄を拘束させて貰う。後30分待つ。聖女教皇を渡すか決めろ」

『渡す訳ないだろ!』

「だろうな。その場合は戦闘だ。最強の防御を持つとされる聖騎士の実力。楽しみにしているぞ。以上だ」

『ちょっと待っ――』

 

 ジョージが何かを言いかけたが、通信は一方的に切られた。

 上空には輸送揚陸艦が待機しており、第4騎士師団HF部隊が聖騎士団を蹴散らした後、揚陸部隊を降下させて聖都に突入し、聖女教皇を確保する予定だ。

 地上の戦闘においてもHFは最強の存在であり、対抗できるHFが不在であれば、他部隊は蹂躙されるほかない。

 聖騎士団のHFの後方にも聖都防衛部隊が控えているが、味方のHFが壊滅させられれば、すぐに全滅するだろう。

 

 双方、引き下がる気は全くない。白地に青で聖印のⅩが描かれている聖騎士団の団旗と、赤地に意匠化された城を守る2頭の竜が描かれている連邦軍旗が、風にたなびく。静かに時間が過ぎていく。

 極限の緊張状態の中、マクスウェルが呟いた。

 

「時間だ。マリアナ、行け」

『はい! おししょうさま!』

 

 マクスウェルを師匠と呼ぶのはマリアナ・アンダーセン。マリアナは12貴族の令嬢で、異常に長い黒髪を持つ小柄な少女だが、第4騎士師団に所属する手練れでもある。

 

 マリアナのHFA-10Cが一気に聖騎士団の隊列に飛び込む。

 

 背負っていた巨大な戦斧を一閃させると、2機のクルセイダーが真っ二つに分断されて吹き飛ばされた。

 

『アハハ! 次に戦斧『ウォートホッグ』の錆になりたいやつはどいつだ!』

 

 外部スピーカーから、幼い少女の狂気じみた声が戦場に響き渡る。

 

「よくやったマリアナ。全機突入。蹂躙せよ」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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