【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
ジョージとソフィアが必死にミリィを慰めていると、聖女教皇が二人に声を掛けた。
「聖騎士団長ジョージ・ホワイトマン。副団長ソフィア・エルスワース」
「「はっ!」」
「お話があります。次の任務についてです」
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その日、聖都ノブヒルは快晴に恵まれていた。適度な風が吹く、過ごしやすい気候だ。
グレース大聖堂の裏手には広大な広場がある。普段は市民に開放され憩いの場となっているが、大規模な行事や祭りに使用されることも多い。
この広場は本来、エクス教の集会場として設計されたものだ。今日はそこに、主催者発表で10万人を超える信徒が詰めかけていた。
定期的に行われる教皇講話だが、今回は臨時に開催されるとの通達があったのだ。
講話の内容は伏せられていたものの、参加者たちの予想はついていた。
聖都のあるフランシスコ星系州は、連邦に属しながらもエクス教による自治が認められている特別州である。独自の軍を保持し、その中核である聖騎士団は全信徒の憧れの的となっていた。経済的にも独立しており、ここで暮らす市民はすべてエクス教徒であり、教団のためにその身を捧げている。
生産される食料や工業製品は教徒のために輸出され、その利益は銀河全域にあるエクス教関連施設の運営に充てられる。
それだけの規模を持つがゆえに、いかに連邦政府といえど、容易に手出しはできないはずであった。
しかし、ある日唐突に、連邦政府は聖女教皇を容疑者として捕らえるべく軍を派遣してきたのだ。
容疑は、かつて発生したサミットテロの計画を、教皇就任前の聖女ニューズ・ニューポートが企てたというもの。だが、サミットテロ自体はすでに実行犯としてテロ組織『ミルザム開放戦線』が壊滅しており、連邦政府自らが解決を宣言していたはずだった。
それが今さら、真の主犯がいたなどという話を、信徒たちが納得できるはずもない。
州政府も猛烈に反発したが、発表直後に連邦軍の襲撃が始まった。直ちに出動した聖騎士団だったが、その実力は高くとも、所有するHF自体は旧式機だ。最新鋭機を揃えた連邦の精鋭部隊を前に、苦戦は免れない。絶望的な戦いになると思われた。
しかし、破滅は回避された。突如として現れた謎の青いHFが、連邦軍を撃退したのだ。聖都が蹂躙されることも、聖女教皇が連れ去られることもなく、都市の平和は守られた。
あの青いHFは味方なのか、それとも別の勢力なのか。人々の間で様々な憶測が飛び交う中、いまだ公式な発表はなされていない。
今日の講話は、その件についての説明があるだろうと誰もが考えていた。
定刻になると、前方の舞台に動きがあった。
白一色の舞台は一段高く、広々としている。普段は教皇の傍らに高位の神官たちが居並ぶが、今回は聖女教皇がただ一人、舞台へと姿を現した。