【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「聖女教皇様!」
「聖下!」
「教皇様ばんざーい!」
民衆は聖女教皇の姿を目にするなり、熱狂的な声援を送った。広場の上空にはナノボットによる多数の大型ビジョンパネルが浮遊しており、彼女の姿を克明に映し出している。
聖女教皇は、白を基調に金の刺繍が施された教皇服を纏い、マイクを手にした。
『敬虔な信徒の皆様。ニューズ・パールハーバです』
彼女が口を開くと、それまで叫んでいた民衆は一斉に静まり返り、その言葉を一言一句漏らさぬよう耳を傾けた。
『本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。皆様ご存じの通り、先日、連邦軍による強襲がありました』
やはりその話か、と民衆は息を呑む。この緊急講話は銀河ネットを介し、銀河国家群の隅々にまで配信されていた。
『強襲の理由は、私の「前教皇聖下殺害容疑」とのことですが、もちろん無実であり、それを証明する反証もございます。詳細については銀河ネット上で公開いたします』
信徒たちはもとより容疑など信じていなかったが、本人からの力強い言葉を聞いて安堵の表情を浮かべる。聖女教皇が前教皇を深く敬愛していたのは、誰もが知る事実だったからだ。
『しかし連邦軍は、こちらの説明に耳を貸すことなく強襲を仕掛けてきました。これは自治特別州に対する明白な暴挙です。……私は連邦政府、いえ、12貴族にとって都合が悪い存在なのでしょう』
『12貴族』の名が出た瞬間、民衆の間から次々と非難の声が上がる。
『つい先日発生したボストン軌道爆撃事件も、12貴族が引き起こした惨劇です。エクス教信徒を含め、多くの方々が犠牲となりました。改めてご冥福をお祈りし、黙祷を捧げたいと思います』
聖女教皇が静かに目を閉じると、信徒たちもそれに倣った。広場は1分間の静寂に包まれる。
『……さて、本来であれば、この聖都も同じように破壊されていたことでしょう。しかし、そうはならなかったのです』
広場が再びざわつき始める。彼らは知っているのだ。あの時現れた、青いHFの存在を。
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「ふん。命拾いをしたな、ニューズ・パールハーバ」
12貴族の一人、レジー・エルメンドルフがいら立ちを隠せずに呟いた。
執務室で今後の策を練っていたところ、突如として聖女教皇の講話が始まると聞き、銀河ネットを開いたのだ。
「まあまあ、レジー殿。次の手ならすでに考えてあるさ」
傍らにいるアンソニーも、共に画面を見つめていた。そこには、捕らえ損ねた聖女教皇の姿が映し出されている。
『さあ、我らの救世主を紹介しましょう!』
聖女教皇はそう告げると、背後を振り返った。
舞台に新たな女性が姿を現す。輝くような長い金髪。見目麗しい顔立ちの横には、青く細いリボンを編み込んだ一筋の髪が垂れていた。青いドレスのロングスカートを保護するように、白銀の鎧を組み合わせた気品ある装束を纏っている。
その姿を見た瞬間、アンソニーはソファから勢いよく立ち上がった。レジーがこれまで見たことがないほどの、驚愕の表情を浮かべて。
「アンソニー、どうした?」
「あれは……青の聖女……いや、ユイフィリア・ユリアーネ・フォン・デヴォンポート!!」
続く