【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

「詮索は後だ! 第一種戦闘配置! 直掩のHFを緊急発進させろ!」

 

 艦長が檄を飛ばすと同時に、艦内に緊急警報が鳴り響く。

 

「待ち伏せでしょうか、司令」

「そのようだな。情報が漏れている可能性がある。……エクス教を敵に回すとは、こういうことか」

 

 連邦の国教であり、全銀河に70億人の信徒を抱えるエクス教。その息のかかった者はどこにでもいる。この空母打撃群の中にも内通者が紛れ込んでいたとしても、何ら不思議ではない。

 

 任務の不透明さと困難さに、早くも司令の心は重く沈んでいた。

 

--

 

 待機していた直掩のHFが空母から次々と緊急発進し、陣形を固める。

 

 急襲してきた敵HFは7機。すでに艦隊の球形陣内側へと侵入しており、目標である空母『フランクリン』までは、あと5分足らずの距離まで来ていた。

 

 緊急発進(スクランブル)で対応できたのは8機のみだが、空母にはまだ予備戦力が残っている。時間が経てば味方機が増えるはずだ。今ごろ格納庫では、仮眠や食事を切り上げたパイロットたちが殺気立って準備を急いでいることだろう。

 

「一機一機を確実に捕捉しろ! 空母へ近づけるな!」

 

 直掩隊の隊長が鋭く指示を出す。敵が7機であれば、こちらの8機で一時的に抑え込めば、後続が到着するまでの時間を稼げるはずだ。

 

 しかし直後、全機のコックピットに甲高いアラートが響き渡る。

 

「AIM警報!? 全機散開せよ!」

 

 AIM――対空迎撃魔術(Air Intercept Magic)の多数が、光速で迫る。直掩隊のHFは回避を試みるが、魔術攻撃は吸い込まれるように全機へと直撃した。

 

--

 

先進中距離対空光子矢(Advanced Medium-Range Anti-Air Photon Arrows)、着弾。8機すべての撃墜を確認しました」

 

 無慈悲な魔術を放ったのは、急襲してきたHF7機のうち、最後尾に位置していた機体であった。

 

 ブリオーと呼ばれる青いチュニック型のワンピースにマントを装備し、頭部には鳥羽のようなものが一つついた帽子を被っていた。女性型の新型HF、機種名HFF/A-18カスタム。人型戦闘エーテル攻撃機、コールサインは『アークサモナー』。

 

 その操縦席に座るのは、ミリィ・メイポートだ。

 

アムラープ(AMRAAP)は使いやすいですね。アクティブエーテルレーダー・ホーミング機能のおかげで、撃ちっぱなしが可能ですし。スージー先生に教わっておいて正解でした」

 

 発射後、母機の支援を必要とせずに自律飛翔して目標を追尾するこのAIMは、皇国で開発された光子魔術(Photonic Magic)だ。連邦軍が採用しているセミアクティブ方式のナンバー7『スパロー』に比べ、圧倒的な運用柔軟性を誇る。

 

 ミリィが感心している間にも、機体の霊子は急速に充填されていく。霊銀(Mithril)が編み込まれた装束型の装備やマントが霊子を効率的に供給し、次なるAIMの斉射を可能にしていた。

 

「ウェアラブル・エーテルタンク、とでも呼ぶべきでしょうか。さすがは皇国の装備ですね。旧来の箒型タンクよりも回復が早い。霊子技術に関しては、連邦よりも一歩先を行っています」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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