【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
LBU軍はひたすら軍備の拡張に奔走していた。特にHFの絶対数が不足しているため、諸外国からの供与も積極的に受けている。プレアデス連合王国からはミラージュ剣士型HF、汎ペルセウス帝国からはティーガー、大八洲皇国からは星菱96式、果ては元赤壁連合のラヴァーグ国からホイス27兵士型など、その顔ぶれは多彩だ。
各国は直接的な武力介入こそ避けているものの、ボストン軌道爆撃事件を激しく非難し、LBUを支持する声明を一斉に出している。
もちろん、ロッド・マーチ社によるHFF-16 ファイティングファルコンの増産も急ピッチで進められ、次々と前線へ配備されていた。
また、聖女教皇の呼びかけに応じた熱心なエクス教徒たちが次々と軍に志願し、兵員数も激増している。
ANU軍の侵攻を警戒し、迎撃の体制は着々と整いつつあった。
一方のANU軍は、
そのため、宇宙軍長官であるグレン・エドワーズ元帥は多忙を極め、数か月の間、故郷へ帰ることすら叶わずにいる。
ようやく状況が落ち着いたところで、彼は束の間の休養を取るため、愛する家族の待つカリフォル星へと戻った。
地球自由連邦ランカスター星系州のカリフォル星。そこは大貴族であるエドワーズ家が領主を務める地である。彼らは他にも四つの星系州の領主を兼任しており、その領地はいずれも
エドワーズ家の本邸もまたカリフォル星にあり、当主グレン・エドワーズ公爵とその家族が住まう場所となっている。爵位の最高位である公爵に相応しい壮麗な屋敷だが、そこで暮らす家族はわずか三人。残りは住み込みの多数の使用人たちだ。
その家族が数か月ぶりに顔を揃え、夕食を共にしていた。父親のグレンと母親、そして一人息子のビリー。メイド服を纏った使用人たちが、家族の数を超えるほどに控えている。
しばらくの間、食卓にはカトラリーが触れ合う音だけが響いていたが、やがてグレンが静かに声を上げた。
「ビリー、新しい辞令が出たそうじゃないか。どうなった?」
エドワーズ家は代々続く武人の家系であり、一族の多くが軍の要職に就いている。ビリーも順調に実績を重ねており、いずれは父グレンのように高官へと昇り詰めるだろうと期待されていた。
「
ビリーが師団長を務める第5騎士師団は、LBUが支配する北東部ではなく、ANUの勢力圏である南西部の治安維持を任された。つまり、当面は最前線で敵と矛を交えることはない、ということだ。
南西部に残されるのは、リチャード・エルメンドルフ少将の第1師団と、この第5師団のみ。他の騎士師団は、すべて北東部への侵攻準備に入っている。
どこか自分だけが除け者にされたようで、ビリーの胸中にはわずかな不満が燻っていた。
「そうか。治安維持もまた、国家の根幹を成す大事な任務だ。しっかりと務めなさい」
グレンの声には、安堵の響きが含まれていた。いかに冷徹な軍人であろうとも、一人息子が戦火の真っ只中へ赴くのは心配なのだろう。彼は安心した様子で食事を再開した。
「なあ、親父……」
「ん? なんだ?」
「『
グレンの手が、ピタリと止まった。