【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-B

「彼女の演説の内容……どう受け取ったらいいのか、分からないんだ」

 

 ビリーは真剣に悩み、困惑の表情を浮かべて問いかけた。

 

「始まりの四家、デヴォンポートの末裔を名乗るあの娘のことか」

「ああ」

「連邦政府の公式見解では、『偽物』と断定されているがな……」

 

 LBUとANUが宣戦布告し合って以来、まず火蓋が切られたのは熾烈な情報戦であった。

 

 

 あの衝撃的な演説の直後、連邦政府は即座に見解を発表した。デヴォンポートの末裔などという話は真っ赤な嘘であり、あの娘の正体は大八洲皇国の軍人、ユイ・ヨコタであると。

 その証拠として、彼女が皇国軍として任務に就いていた頃の様子が映像付きで公開された。プロフィールも詳細に暴かれ、彼女が連邦のデヴォンポート家とは無関係の、生粋の皇国人であることが強調されたのだ。

 

 もちろん、聖女教皇側からもすぐさま反論がなされた。デヴォンポート家の正統なる証である聖青盾(ブルーラインシールド)のペンダントを所持していること。彼女の母親は確かにデヴォンポートの出身であり、12貴族の陰謀によって暗殺されたこと。それらを裏付ける具体的な証拠が、銀河ネットを通じて次々と公開された。

 

 しかし、南西部の人々にその情報が届くことはなかった。

 

 

 全銀河国家群に張り巡らされている銀河ネット。その基幹部は、超円環素子(Super torus element)を利用したリアルタイム通信によって維持されている。

 

 超円環素子(STE)は、高次元的には一つでありながら、三次元空間上では二つの対となって現れる素子である。この二つの素子は、どれほど物理的な距離が離れていても情報を瞬時に共有することが可能であり、それが光年を超える恒星間距離通信の要となっていた。

 

 だが、このSTE通信の維持には莫大なエネルギーが必要であり、小指ほどの大きさの素子一つでわずか一ビットの情報しか伝達できない。大規模なデータを送受信するためには、STEを大量に組み込んだ巨大な装置と、専用の強力な発電施設が不可欠だ。

 そのため、STE通信装置は各星系州の州都に設置され、星系間を繋ぐためだけに利用される。州都から惑星全体へは、通常の光通信が用いられるのが一般的だ。星系内他惑星や艦船、施設へのSTE通信は必ず州都を経由する。

 

 そしてSTE通信は、端末間でのみ直接データをやり取りする「Peer to Peer」方式であり、他のネットワークの影響を受けない。他星系からの情報はすべて、州都に鎮座するSTE通信装置という「関所」を通ることになる。

 

 このSTE通信装置の管理権を持つのは領主、すなわち貴族である。

 

 南西部では貴族たちが「エニグマシステム」という高度な情報統制機構を駆使し、流れる情報を常に監視・改竄していた。エニグマはリアルタイムで情報を精査し、都合の悪いデータを遮断しては、自陣営に有利な情報へと上書きしていく。

 

 聖女教皇側の発信する真実は南西部には一切入らず、人々は連邦政府の主張のみを聞かされ続ける。マスコミも政府の情報を垂れ流し、その正当性を保証する。

 

 こうして南西部において、『聖青の戦姫』の存在そのものが虚構として塗り潰されていった。

 

 エクス教側も手をこまねいていたわけではない。銀河ネットが封じられたのであれば口コミだとばかりに、多数の信徒を南西部へと送り込み、草の根の噂を広めていった。ある程度の手応えは得られたものの、アンソニー・アンドルーズが率いる諜報機関『道具箱(ToolBox)』の執拗な妨害もあり、支配的な情報を覆すまでには至らなかったのである。

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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