【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

 この鉄壁の多重球形陣を前にしては、単艦の『伊ー400』や、まだ数えるほどしか艦艇を持たないLBU軍艦隊では、星間航路上の敵に手を出すことは不可能だった。

 第13空母打撃群(13th CSG)のときのようにHFで奇襲を試みても、常に多数の直衛機が哨戒を行っており、空母に肉薄する前に包囲され、撃墜されるのが目に見えている。

 

「よし! 地上戦に切り替えます! 惑星降下開始!」

 

--

 

 地上では、LBU軍とANU軍のHFが激突してから、すでに3時間が経過していた。

 LBU軍のティーガーとANU軍のイーグル。どちらも大盾を構えた重装甲仕様であり、パイロットたちの技能も拮抗していた。互いに3機ずつが損傷して戦線を離脱するという状況で、戦局は完全に膠着状態に陥っている。

 

 だが、一瞬たりとも気を抜くことは許されない。ここで防衛線が突破されれば、後方の都市は敵の地上軍によって蹂躙されてしまう。再び貴族の支配が戻ることだけは、死んでも阻止せねばならない。ティーガーのパイロットたちは、まさに死に物狂いで踏みとどまっていた。

 

「我々が最後の砦だ! 皆、歯を食いしばれ!」

 

 ティーガー隊の隊長が声を張り上げる。彼は元帝国軍人であり、帝国が北東部へ進出していた時期にこの惑星へ駐留していた。帝国が『バトル・オブ・パリーヌ』で敗走した際、本国へ戻るか残るかの選択を迫られ、彼はこの地に残ることを決めた。やがて現地の女性と恋に落ち、家族を得た彼は、この星に骨を埋める覚悟を固めていた。そこへ、貴族たちの侵攻が始まったのである。

 

 かつてのティーガー・パイロットとして、彼は迷わず志願し、LBU軍に加わった。

 

 隊長の激に応え、隊員たちの力強い返唱が響く。士気は極めて高い。だが、現実は過酷だった。

 

 HFはパイロットを核として無限に近いエネルギーを生み出すが、操るパイロット自身は有限の肉体を持つ生身の人間である。人は、永遠に戦い続けることはできないのだ。

 

 HFのパイロットは操魂球(Cockpit Sphere)の内部で異空間へと接続され、生身の体は一種の半覚醒状態で保持される。体そのものは動かさないが、機体を制御するために脳は異常な活性状態に置かれており、いわば肉体は眠りながら精神だけが極限の運動を続けているような状態だ。当然ながらエネルギーを激しく摩耗するため、適切な休息と補給が不可欠となる。

 

 HFは機体前面から操魂球に乗り込む構造だが、球体の背後には、かろうじて休息が取れる程度の狭い居住スペースが存在する。非戦闘時であれば、そこで食事や排泄、仮眠を取ることが可能だ。しかし、激しい地上戦の最中では、そのような余裕は一秒たりとも存在しなかった。

 

 不休の戦闘を続けて3時間。疲労はすでに限界点に達していた。仮想空間のアバターもその影響を隠せず、額からは絶え間なく汗が流れ落ちている。

 

 隊長が意識の混濁を感じ始めたそのとき、突如として通信回線が開かれた。

 

『こちら『聖青の戦姫(バルキリー・オブ・セントブルー)』です! 遅れてごめんなさい! これより戦闘に参加します!』

 

 

続く

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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