【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

283 / 292
Part-C

 『聖青十字騎士団(オーダー・オブ_セントブルー)』は、2機ずつに分かれ、シエラネバダ山脈周辺に展開していた。

 

 ジョージ・ホワイトマンは、ソフィア・エルスワースと共に山脈北部に待機し、上空を監視している。

 

 狙い通り、この地の上空に16個の火の玉が降ってきた。

 

 最大望遠で敵HFの機種を確認する。

 

「あれは……」

 

 巨大なラウンドシールドを敷き、重力制御なしに降下してきた。

 

「HFA-10C サンダーボルトⅡ!! マクスウェルか!!」

 

 ジョージが叫ぶ。HFA-10を装備しているのは、第4騎士師団だけだ。

 

「バルキリー・オブ・セントブルー。こちらロウ・スタッフ。敵の部隊が判明した! 第4騎士師団! 三傑の一人、マクスウェル・アンドルーズだ!」

『こちらバルキリー・オブ・セントブルー了解! 各機! 迎撃行動に移れ!』

 

 即座にリーダーであるユイから指令が飛ぶ。ANU軍の騎士師団でも三傑と呼ばれる元円卓の騎士団(Knights of the Roundtable)の3人は要注意だ。むしろ、聖青十字騎士団として相手を望んでいた敵だった。

 

「セント・シールド! いくぞ!」

『はい!』

 

 『セント・シールド』ことソフィアと共に、HFF-16カスタムを走らせる。

 

「待っていろ! マクスウェル! 聖都の屈辱を晴らしてやる!」

 

--

 

『ブルー・ナイト! 2時方向!』

 

 僚機である『ローズ・ナイト』のデルフィーヌ・ランディヴィジオから三沢ゴウガに報告が入る。指示された方向を見ると、険しい山頂に敵HFが小さく見えた。足場が悪く、戸惑っているようだ。

 

 装輪(タイヤ)でも装軌(キャタピラ)でも山岳地帯の走行は厳しい。だが装脚(あし)は別だ。踏める場所があれば歩行できる。どんな車両も通行できない場所でも、人間ならば入っていけるように、本来は不安定な二本脚がここでは威力を発揮する。さらに手を使えば急斜面も登れる。

 

 HF戦は重力制御を切って戦う。飛ぶことはできずとも、二本の脚と手でどこまでも進んでいけた。しかし重量があるHFは、足場が崩れやすい場所では動きが鈍くなる。

 

 敵HFをこの惑星で一番険しいシエラネバダ山脈に誘導したのも、それが目的だ。ただ、HFF-15 イーグルを想定していたところに、まさかさらに重量級のHFA-10が来るとは予想外だった。

 

『早く行きますわよ』

 

 デルフィーヌから急かされる。敵HFもこちらを認識して向かってきていた。

 

「まあ待て」

『何ですの? 向こうも2機で同数ですわよ』

 

 HFの地上戦は肉弾戦だ。機銃ではHFに掠り傷一つつけられないため、お互いに接近する必要がある。デルフィーヌもHFのサーベルを抜剣していた。

 

「新装備を試させてくれ」

『またですの?』

 

 デルフィーヌの呆れた声が返るが、それを無視して新装備を起動させた。

 

 ゴウガのHFにはバックパックが装備されている。それが稼働し、筒状のもの2本が両肩の上に固定された。足の踵にある、衝撃を受け止めるためのアウトリガーが地面に打ち付けられる。

 

『銃撃? HFには効きませんわよ?』

「砲撃だ。まあ見てなって」

 

 前傾姿勢を取り、こちらに向かってきているHFA-10の1機に照準を合わせた。敵HFは飛び道具など全く予想していないようで、無警戒で近づいてくる。

 

「25センチ2連装滑腔砲! ファイヤ!」

 

 赤いリング状の加速霊符が輝き、2発の砲弾が発射された。発射直後にケーシングが外れ、安定翼のついた細長い棒状の弾体が飛翔する。

 衝撃波を伴い、弾体が敵HFの1機に着弾。頭部を粉砕した。

 

「っしゃ! 命中! さすが装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)!」

『すごいじゃない! もう1機も来てますわよ!』

「……弾切れだ」

『はい?』

「今ので最後だ。弾芯が超重元素オガネソンと霊銀の合金なんだが、モコさん曰くオガネソンを安定させるのが難しいらしくてな。この2本しかできなかった。だから、あれで終わり」

『……』

 

 デルフィーヌは無言だったが、呆れているのは伝わってくる。

 

『さっさと残り1機を迎撃しますわよ』

「ヘーイ」

 

 

続く

 




評価、ご感想お待ちしています。

【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。