【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第八十二話 雪辱
Part-A


 マクスウェル・アンドルーズは、戦場が一望できる山脈の頂上に着陸した。

 

『こちら04! すみません! 大破したため脱出します!』

『09が敵HFに攻撃を受けました! 操魂球(Cockpit Sphere)が射出されたので回収に向かいます!』

「了解だ。お前ら無理はするな。操魂球を回収したら速やかに離脱せよ」

 

 部下から次々と被害報告が入る。状況は芳しくないようだ。

 

 マクスウェルの部隊は惑星上戦闘に特化しており、これまでも数々の戦場で敵を叩き潰してきた。

 降下地点をここにしたのも、山岳地帯での戦闘経験が豊富で、他のHF隊とは練度が違うという自負があったからだ。敵HFのHFF-16よりもうまく立ち回れると判断したためである。

 

 しかし、想定以上に敵が強い。

 

「ふむ、これは例の青い部隊とかいう……」

 

 北東部各地で、強力な部隊が突如出現しているとの報告は受けていた。その部隊に当たったのかもしれない。

 

 そう考えていたところ、眼下に青いHFが現れた。

 

『マクスウェェェェェル!!』

 

 外部スピーカー越しに聞こえてきたのは、よく聞き知った声だった。

 

「おお、聖騎士団のジョージじゃないか!」

 

 マクスウェルもスピーカーで返答する。大気のある地上だからこそ可能なやり取りだ。

 

『今は『聖青十字騎士団(オーダー・オブ_セントブルー)』だ! 聖都での借りを返させてもらうぞ!』

「聖都では途中で邪魔が入ったからな! 望むところだ!」

『我が両手棍『ロウ・スタッフ(法の棍)』の名に懸けて、お前ら貴族を断罪する!』

「わははは! 来い! ジョージィィィ!!」

『うおおおおおお!!』

 

--

 

 星菱レイは、敵のHFA-10が繰り出した横殴りの戦槌を避け、低い姿勢のまま電光石火で懐に飛び込む。

 

(テン・シント流太刀術二一の太刀。死電改(しでんかい)

 

 最接近した状態から、下より斜め上へ斬り上げる技――逆袈裟斬りを叩き込む。

 

 シュカン、というまるで紙を断ったような音が響いた。敵HFは一瞬だけ動きを止めたが、一拍置いて、斜めに断たれた頭部と肩がずるりと滑り落ちる。その断面は恐ろしく鋭利だった。

 

「さすが長曽祢虎徹。切れ味がすごいな」

 

 残心の姿勢のまま、レイは驚きを漏らした。この太刀は譲り受けたものだ。前の持ち主である春日ツクモによると、高名な刀鍛冶がH()F()()()()()刀身を鍛造したらしい。折り返し鍛錬や焼き入れのたびに霊子(Aetherion)を流し込むことで、通常の鋳造で作られるHF用太刀よりも格段に鋭く、霊子で強化しやすい逸品となったのだ。名刀の中でも「最上大業物」と呼ばれる部類とのこと。

 

 敵HFの操魂球が排出されるのを見届けると、横田ユイから通信が入った。

 

『状況は!?』

「1機大破。これで2機目だよ」

『了解! こちらも2機大破させたわ。次のポイントに移動するわよ!』

「了解」

 

 敵HFは想定していたイーグルではなかったが、重装甲ゆえに足場の悪い山岳地帯では動きが鈍い。それでも手練れのようで手強いが、こちらの方が一枚上手のようだ。聖青十字騎士団でこの戦域を引き受けたのは正解だった。

 

 こちらの倍以上の数を誇る敵を迎撃するため、レイ達は次の地点へと急行する。

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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