【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
『ブラックソーサラー。こちらハイプリースト。くだらないことを言ってないで、さっさと
「はい……」
コールサイン『ブラックソーサラー』こと佐世保アラヤは、『ハイプリースト』横須賀リンの冷静沈着な命令に即座に従い、操作を開始した。
『ハイプリースト。こちらエーテルメイジ。同調完了したよ!』
『ハイプリースト了解。敵HF8機をターゲッティング済み。どうぞ』
『エーテルメイジ』舞鶴シュユがリンとやり取りを交わしている間に、アラヤ機の霊網同調が完了した。連携した情報が仮想空間上のコックピットへと反映される。母艦『ナッチャンワールド』を包囲するように展開する敵HFが8機表示され、そのデータには『詠唱中』のステータスが付与されていた。
シュユ側の通信からは、猛烈な勢いでキーボードを叩く音が聞こえてくる。
『ほいほい。対艦攻撃魔術の詠唱を確認。
気の抜けた掛け声と共に、『詠唱中』のステータスが次々と消滅していく。術を突然かき消された敵パイロットたちの困惑が目に浮かぶようだ。
シュユの搭乗する黒いチュニック型外装のHF――HFEA-18G グラウラーは、ミリィのHFF/A-18 カスタムホーネットをベースに開発された最新の人型霊電子戦機。霊電子妨害だけに留まらず、広範な霊電子攻撃能力を誇る。
『霊電子攻撃も実施。システム乗っ取り完了だよ!』
敵HFの制御系を完全にクラッキングしたらしい。今頃、敵機のモニターにはアニメ調に加工されたシュユの、人を食ったような笑顔が表示されていることだろう。ご愁傷様である。
『敵HF8機の無力化を確認』
リンの冷静な声が響く。彼女が駆る黒い修道服姿の機体は、HFE-3 セントリー。人型
セントリーは既に、2機の無人カスタム魚雷を放っていた。その名称はRQ-4 グローバルホーク。獲物を狙う鋭い鷹の姿をした偵察機だ。
『グローバルホークとリンク。対エーテルステルスシステム構築。
『……8隻の霊電子戦艦を捕捉。位置情報を霊網で共有。出番よ、ブラックソーサラー』
「おうよ!」
敵艦の正確な位置を把握したアラヤは、指先で印を組みながら詠唱を開始した。
「元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐う八本の剣、顕現を五陽霊神に願い奉る!」
アラヤの駆る機体は、HFB-1B ランサー。Bは「Buster」を意味し、あらゆる敵を粉砕するために設計された魔術攻撃HFだ。
「
黒ローブを纏った魔術士型HF「ランサー」が両腕を広げると、出現した八本の巨大な光の剣が放たれた。
光速で飛来するこの魔剣を回避する術は存在しない。
『敵艦8隻すべて、中破。航行不能を確認。目標の無力化に成功したわ』
「おっしゃあ!」
リンからの冷静な戦果報告を受け、アラヤは拳を握る。
『よくやったわね、ブラックソーサラー』
「!! お、おう!」
滅多にないリンからの褒め言葉に、アラヤは狂喜乱舞した。