【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第八十五話 残響
Part-A


 

 シロウ・カデナ率いる第3騎士師団(3rd Cavalry Division)が、局所泡連合(LBU)の支配する惑星に到着した。

 

「諸君! 降下地点が決まった! 気合を入れろ! 惑星降下準備!」

『『『はっ!』』』

 

 シロウが団員に檄を飛ばす。だが、彼らの普段のモチベーションは、それほど高くはない。

 

 連邦北東部を解放するという名目で始まった、この大遠征。

 

 5個遠征空母打撃群(ECSG)、総員10万人を擁する大部隊だ。

 

 遠征部隊では無線封鎖が行われており、兵員もお互いの状況を知らされていなかった。もちろん、本国への私信も許されない。

 

 第13空母打撃群(13th CSG)の際、内部からの情報漏洩で失敗した教訓とのことだが、家族や友人との連絡が取れないのは大きなストレスだった。

 

 そして、攻撃目標についてもエイトリア貴族同盟(ANU)軍統合作戦本部からの指令が絶対であり、現場の判断というものが介在しない。

 指定された星系州に向かって惑星上陸戦を行い、勝利した場合は地上軍を降下させて占領行動に移る。

 

 敗北した場合は一旦撤退し、再度統合作戦本部の指示を仰ぐことになるが、その撤退基準は不可解なものだった。惑星揚陸の先鋒は当然HF部隊だが、そのHFが一機でも敗れた場合は、すぐに退却するように命じられているのだ。

 

 貴重なHFパイロットを浪費しないための戦略だとは思うが、それにしても条件が緩すぎる。碌に活躍しないまま撤退を繰り返す状況では、現場の士気を保つのも難しい。

 

 対するLBU軍の方は、非常にモチベーションが高かった。敗北すれば、せっかく手に入れた自由が再び貴族に奪われてしまう。必死なのは当然だ。

 

 完全勝利か即撤退かを求められたHF隊が、強襲揚陸艦から発艦する。

 

 直径50mと、HFの全高より大きなラウンドシールドを下に敷き、大気圏へと降下していく。断熱圧縮で赤く輝きながら落下するが、地上からの攻撃はない。ANU軍が重力制御ではなく、使い捨てのシールドを用いた自由落下を多用していることが浸透しているのだろう。

 地上に接近して初めて重力制御を行い、着地する。その場所はLBU軍基地から少し離れた地点だった。

 

 全員の着陸を確認して隊列を組む。16機の巨人が列をなす光景は壮観だが、移動方法は徒歩だ。

 

「では、進軍開始」

 

 シロウの合図で、一列に並んだイーグルが軍旗を掲げ、足並みを揃えて歩き出す。赤い軍旗には連邦軍と各部隊の意匠が描かれている。第3騎士師団(3rd Cavalry Division)の部隊章は、湾曲した剣――刀だ。

 

 勇壮な光景ではあったが、シロウの抱く印象は違った。人類が地球という惑星を飛び出し、広大な銀河を舞台に行っている戦闘がこれなのか。徒歩で進軍し、剣を持って殴り合う。まるで地球時代の中世のようだ。いや、弓矢などの飛び道具すら無い状況は、それよりも古い石器時代に近いのではないか。

 

 16機のイーグルがLBU軍基地近辺に到着した。

 

 だが、様子がおかしい。いつもであればHFが列を成して待ち構えているはずだが、今はわずか一機。機種はフランクス製のミラージュだ。

 

 疑問に思いながらも、定法に従い通信を繋ぎ、降伏勧告を行う。

 

「こちらエイトリア貴族同盟軍所属、第3騎士師団団長シロウ・カデナ大佐だ。局所泡連合軍に告ぐ。直ちに武装解除を行い、降伏せよ」

 

 テンプレート通りの降伏勧告を行い、応答を待つ。これまで降伏を受け入れた部隊はなかったが、今回の反応は違った。

 

 一機だけいたミラージュが、白旗を掲げたのだ。

 

『こちら局所泡連合軍駐留HF部隊だ。降伏する』

 

 LBU軍基地は、無血開城された。

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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