【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
連邦の辺境に位置するビスマーク星系州で、大規模なデモが開催されていた。デモと言っても、市民がプラカードを掲げて静かに行進するだけのもの。
その静かなデモを巨大なHFで警備しているのは、ビリー・エドワーズ率いる
警備と言っても、ただ突っ立っているだけだが、市民はみな怯えた目を向けている。
それもそのはず。警備に使用されているHFF-15イーグルは全高40mもあり、ビルの13~14階に相当する。そんな巨大な人型兵器が古代の鎧を着た騎士を模し、巨大な剣と盾を携えて佇んでいるのだ。その心理的圧迫感は計り知れない。
ストライクイーグルの仮想空間コックピットで、市民の視線を居心地悪く感じていたビリーだったが、ふと現地の警察に動きがあることに気が付いた。
「なんだ?」
デモ隊の前に樹脂製の盾を持って並んでいた警察隊に、大勢の追加部隊が現れる。彼らは正面に並ぶなり、一斉にライフルを構えた。その銃口は、無抵抗の市民に向けられた。
「おいおい!」
ビリーの叫びも虚しく、無慈悲な銃声が響き渡る。次々と倒れ、逃げ惑う市民たち。彼らは投石などの暴力的な行為は一切していない。ただ静かに行進していただけだ。
あまりの凄惨な光景に、ビリーは思わずHFの手を差し出し、壁を作って発砲を遮った。外部スピーカーを通して叫ぶ。
「何をしている! 発砲をやめろ!」
こちらの声が届いたのか、一旦は銃声が止んだ。しかし、現場指揮官らしき男がこちらを仰ぎ見て怒鳴っている。ビリーは集音マイクをオンにした。
『何だ貴様! 軍人ごときが邪魔をするな!』
「彼らは何もしていない! 静かに歩いていただけだ!」
『はん!
そこへ、男の部下が慌てて耳打ちをした。
『……は? エドワーズ公爵のご子息? し、失礼いたしました!』
急に態度を豹変させた指揮官は、直立不動で敬礼し、そのまま固まった。
「まただ。またこれか……」
ビリーは絶望を覚える。行動の正当性ではなく、爵位がすべてを決める。視線を移せば、血まみれのデモ参加者たちが担ぎ運ばれていくのが見えた。道路は赤く染まっている。
ビリーは、実家に帰った際に父からかけられた言葉を思い出す。
「親父……、これが本当に『マシ』な選択なのか……?」
そのとき、本部から通信が入った。
「……了解した」
任務の終了。
「アラスの兄貴や、シロウの兄貴は何をしているかな」
そして、今や敵となった横田ユイもそこにいるはずだ。
「彼女にも、会えるだろうか……」