【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第八十六話 兵站
Part-A


 連邦の辺境に位置するビスマーク星系州で、大規模なデモが開催されていた。デモと言っても、市民がプラカードを掲げて静かに行進するだけのもの。

 

 その静かなデモを巨大なHFで警備しているのは、ビリー・エドワーズ率いる第5騎士師団(5th Cavalry Division)だ。

 警備と言っても、ただ突っ立っているだけだが、市民はみな怯えた目を向けている。

 

 それもそのはず。警備に使用されているHFF-15イーグルは全高40mもあり、ビルの13~14階に相当する。そんな巨大な人型兵器が古代の鎧を着た騎士を模し、巨大な剣と盾を携えて佇んでいるのだ。その心理的圧迫感は計り知れない。

 

 ストライクイーグルの仮想空間コックピットで、市民の視線を居心地悪く感じていたビリーだったが、ふと現地の警察に動きがあることに気が付いた。

 

「なんだ?」

 

 デモ隊の前に樹脂製の盾を持って並んでいた警察隊に、大勢の追加部隊が現れる。彼らは正面に並ぶなり、一斉にライフルを構えた。その銃口は、無抵抗の市民に向けられた。

 

「おいおい!」

 

 ビリーの叫びも虚しく、無慈悲な銃声が響き渡る。次々と倒れ、逃げ惑う市民たち。彼らは投石などの暴力的な行為は一切していない。ただ静かに行進していただけだ。

 

 あまりの凄惨な光景に、ビリーは思わずHFの手を差し出し、壁を作って発砲を遮った。外部スピーカーを通して叫ぶ。

 

「何をしている! 発砲をやめろ!」

 

 こちらの声が届いたのか、一旦は銃声が止んだ。しかし、現場指揮官らしき男がこちらを仰ぎ見て怒鳴っている。ビリーは集音マイクをオンにした。

 

『何だ貴様! 軍人ごときが邪魔をするな!』

「彼らは何もしていない! 静かに歩いていただけだ!」

『はん! 閉魂者(Closed)どもがデモをすること自体が罪だ! 貴様、名を名乗れ!』

 

 そこへ、男の部下が慌てて耳打ちをした。

 

『……は? エドワーズ公爵のご子息? し、失礼いたしました!』

 

 急に態度を豹変させた指揮官は、直立不動で敬礼し、そのまま固まった。

 

「まただ。またこれか……」

 

 ビリーは絶望を覚える。行動の正当性ではなく、爵位がすべてを決める。視線を移せば、血まみれのデモ参加者たちが担ぎ運ばれていくのが見えた。道路は赤く染まっている。

 

 ビリーは、実家に帰った際に父からかけられた言葉を思い出す。

 

「親父……、これが本当に『マシ』な選択なのか……?」

 

 そのとき、本部から通信が入った。

 

「……了解した」

 

 任務の終了。第5騎士師団(5th Cavalry Division)は連邦領北東部へ向かえという。円卓の騎士団(Knights of the Roundtable)の仲間が居る戦場へ。

 

「アラスの兄貴や、シロウの兄貴は何をしているかな」

 

 そして、今や敵となった横田ユイもそこにいるはずだ。

 

「彼女にも、会えるだろうか……」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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