【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「多数の高霊子反応を検知! 対艦魔術攻撃と思われます!」
正体不明の敵による霊電子攻撃。畳みかけるように対艦攻撃が放たれた。目標は、間違いなくこの旗艦空母だろう。
「対攻撃魔術防御! 重力子砲の弾幕を張れ!」
「了解!」
艦長が即座に指示を飛ばす。近接防御兵器である光子砲は魚雷には有効だが、魔術攻撃に対しては無力だ。重力子榴弾を用いて霊子を減衰させるしかない。
「
全長は300m程度だが、艦の両側に全長に匹敵する巨大な「板」が張り出した独特の形状をしている。その板の内部は無人で、中央の艦体から支柱で繋がっていた。本体の乗員は最小限で、攻撃兵装を持たず、
艦長は神盾艦が回頭するのを確認すると、全乗員に対ショック姿勢を命じた。それほどまでに対艦魔術攻撃の破壊力は凄まじく、防御が完全である保証はない。
「着弾まで、あと5秒!」
ブリッジ内でも衝撃に備え、シートベルトを締め直し、前傾姿勢で頭部を保護する。艦長も艦隊司令も例外ではない。
「着弾! 今ッ!」
オペレーターの叫びとともに、全員が身を固くする。
だが、期待された(あるいは恐れられた)衝撃は発生しなかった。
「あれ……?」
「被害状況を報告せよ!
艦長が顔を上げ、モニターを確認する。
「いえ、当艦に損害なし。
「どこだ!?」
「補給艦群です! 中破以上の被害多数! 大型給糧艦も大破炎上しています!」
「何だと!」
――
「補給艦、全隻の沈黙を確認しました」
「うんうん」
『伊ー400』の艦橋で、副長の呉ナトミから報告を受ける艦長のスージー。
「さすがミリィとサンちゃんの弟子たちね。ナトミもお疲れ様」
「いえ、私は補助に徹しただけですので」
『伊ー400』から発艦したわずか4機のHF。それだけで、強固な多重輪形陣を敷く艦隊を無力化したのだ。
まずシュユの『エーテルメイジ』が、ナトミとリンクして出力をブーストした
次にリンの『ハイプリースト』が広域の戦況を掌握し、ミリィの『アークサモナー』が敵のホークアイを排除。
仕上げにアラヤの『ブラックソーサラー』が精密な対艦魔術攻撃を放ち、最優先目標である補給艦群を壊滅させた。
「でも、本当によろしかったのですか? 空母を沈めなくて」
「ああ、今あれを落としても、どうせ代わりが来るだけだからね」
「え?」
「ANUでは、猛烈な勢いで軍艦を建造しているらしいわよ。毎週のように護衛空母を、毎月のように正規空母を建造しているわ。漫画雑誌じゃないんだからねぇ」
「えええっ……」
驚くというより、もはや呆れ果てるナトミ。皇国の常識では到底考えられない物量だ。
「連邦の工業力を甘く見てはダメよ。だからこそ『中の人』をターゲットにしたの」
「ああ……だから補給艦、なんですね」
「そうよ。『腹が減っては戦ができぬ』ってね。さあ、次はいよいよ『悪夢』退治よ」
続く