【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
「
ユイはHFを降り、崩れ落ちた瓦礫の隙間に人が埋もれていないか自らの目で確認しながら、現地での指揮を執っていた。発見次第、迅速に救助を行っているものの、すでに息絶えている者も少なくない。そのほとんどが罪のない民間人だった。
『
横須賀リンが操るHFE-3セントリーは、人型
ユイは邪魔な瓦礫を退け、泥と汗で汚れた額を拭うが、その手の平もまた黒く汚れていた。
「ユイ、これを使って」
歩み寄ってきたレイが、清潔なタオルを差し出す。
「ありがと。そっちの状況はどう?」
「僕の担当エリアの捜索は終わったよ。生存者は全員救助できたと思う」
レイには、特異な感覚で人の気配を察知する能力がある。普段は戦場で敵の位置を探るために使われる能力だが、このような状況下では抜群の効果を発揮した。ユイからは「優秀な救助犬みたいね」と評されている。
「それにしても、あんまりだわ。なんで民間人の街までこんな……」
この基地は居住区や民間施設が隣接しており、明確な境界線がない。だからといって、無差別にすべてを焼き尽くすのは明白な暴挙だ。戦争にはルールがあり、地球条約による厳格な規定が存在する。このような凶行は断じて許されるものではなかった。
「襲撃したのは、黒いマントを羽織ったイーグルだったらしい」
「例の『ナイトメア』部隊ね……」
ユイたち『
「絶対に、私たちの手で倒さないとね」
「うん。でも、『ナイトメア』の隊長機はユイが倒すんだ」
「アタシが?」
「そう。あれは植え付けられた恐怖の象徴だ。それを打ち破るのは、みんなの旗印であるユイの役目だよ」
『ナイトメア』を討ち取るということは、LBU軍や民衆の間に蔓延しつつある絶望を払拭するということだ。その大役を担えるのは、『
「分かったわ。みんなの希望を守るために、あの『ナイトメア』はアタシが絶対に倒す」
「うん、ユイはボクより強いんだから。取り巻きの他のHFは、僕たちが責任を持って排除するから」
「任せたわよ」
「任された」
救助活動が一段落したところで、ユイのパイロットスーツに通信が入った。
「……了解です。すぐに帰艦します」
「何だったの?」
「他の星系に、連邦軍が侵攻する兆候が確認されたって」
「そうか」
「それが『ナイトメア』の仕業かどうかは分からないけれど、急がないとね」
「うん」
「じゃあ、『伊ー400』に戻りましょう」