【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-D

 赤壁連合からの脱退を表明したホーロー国。その惑星内に置かれた連合軍駐留基地で、大規模な暴動が発生していた。

 

「ま、待ってくれ! 命だけは助けて……!」

「てめぇ、あの時略奪に来たヤツだな! よくも俺の店をめちゃくちゃにしやがったな! これは妻の仇だ!!」

 

 乾いた銃声が響き、連合軍兵士は呻き声を上げて崩れ落ちた。パン屋を営んでいた男は、略奪と放火によって失った妻と店舗の仇を討ったが、その怒りは未だ収まる気配がない。

 

「おい、パン屋!! こっちにも隠れてるぞ! 応援を頼む!」

「今行く!」

 

 連合軍駐留基地の各所では、絶え間なく銃声や爆発音が轟いていた。基地周辺の住民たちがレジスタンスを結成し、武装蜂起によって基地を襲撃している。

 

 連合離脱後、各地の駐留基地への補給は完全に滞っていた。困窮した軍人たちが取った行動は、武力を背景とした周辺住民への略奪であった。彼らは銃で住民を脅し、食料や物資を奪い去っては火を放ち、暴虐の限りを尽くしたのである。

 やりたい放題を繰り返す軍人に対し、住民の怒りはついに爆発。組織的な武装蜂起へと至った。

 

――

 

「報告! 基地司令を拘束した! 連中、降参を宣言したぞ!」

「よくやった! 俺たちの勝利だ!」

 

 とある建物の地下に設けられたレジスタンス本部が、歓喜の渦に包まれた。

 本部から的確な指示を出し、暴動を組織的な作戦へと昇華させ、軍人ではない一般人のみの手で勝利を掴み取ったのである。

 

 彼らの武器はレールガン小銃やレーザー拳銃、手榴弾程度であったが、基地の軍人がすべて普遍人(Normalian)で構成されていたことが幸いした。開魂者(Openian)の軍人は、先の新星系戦においてその大半が失われていたからである。

 

 皇国のように国民のほぼ全員が開魂者であるという例は極めて稀であり、銀河国家群においても全人口の6割ほどは普遍人である。彼らは惑星で生まれ育ち、一生をその重力圏から出ることなく終えることも少なくない。

 

「やったな、リーダー!」

「ああ。チェンさんの武器提供のお陰だ」

「あれは軍の横流し品だからな。処分に困っていたところだったんだ、気にするな」

「それでも助かったよ! 本当にありがとう!」

 

「いいってことよ。だが、これからが本番だぞ。他にも連合軍の基地は残っている。他のレジスタンスと共同し、連中を完全に惑星から叩き出さなきゃならん」

「おうよ、これからも頼むぞ同志諸君!」

 

 再び本部内に勝鬨が上がる。チェンと呼ばれた男も、周囲に合わせて力強く腕を突き上げた。

 

 だが、このチェンと名乗る男は本名ではなく、ましてや一般人でもない。その正体は、皇国軍の情報本部第一作戦部に所属する工作担当官であった。

 工作担当官は、皇国の安全保障に直結する諜報活動を任務とする。政治・軍事・経済情報の収集のみならず、時には反政府組織への援助や扇動も行う。今回も、彼は秘密裏に潜入し、レジスタンスの活動を影から操っていたのだ。

 

 特殊作戦、不正規戦、機密作戦、非合法作戦に従事するこの作戦部は、他国から通称『忍術部隊』と呼ばれている。

 忍術と言っても、古の物語のように火遁の術や木の葉隠れを駆使するわけではない。あくまで、高度な隠密性と技術を伴う諜報・破壊活動の総称であった。

 

 もっとも、他国が自分たちを「ニンジャ」と恐れてくれるのは都合が良いため、あえて否定せず放置しているのが実情である。

 

 ホーロー国に限らず、赤壁連合を構成する各国で同様の武装蜂起が頻発していた。連合の瓦解どころか、国家としての体制そのものが、根底から揺らぎ始めていたのである。

 

 




【完結】NGチルドレン もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/

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