【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
強襲揚陸艦LHD-503『キアサージ』のHF格納庫では、整備員たちが課された出撃前チェックを慌ただしく進めていた。並び立つHFイーグルの背には、不気味な黒いマントが装備されている。
黒マントは『ナイトメア』部隊にしか支給されない、まさに恐怖を象徴する特異な装備だった。その存在は味方にすら秘匿されており、ご丁寧にも機体表面の認識番号などはすべて削り取られ、どこの所属であるかも判別できないよう隠蔽されている。通常任務に戻る際には再度塗り直すという、徹底した情報統制ぶりだ。
その巨大な格納庫の片隅に、パイロットスーツに身を包んだ屈強な男たちが一列に、計14人整列していた。彼らの正面には、同じパイロットスーツを着用した小柄な女性が毅然と立っている。
静寂が満ちる中、彼らの前に全身を黒い
「
小柄で白いロングヘアの女性――カタリナ・アヴィアーノが、鋭く張り詰めた号令を発した。
背後に並ぶ屈強な男たちが、一斉に寸分の乱れもない直立不動の姿勢を取る。
「ああ、楽にしてくれ」
黒い動甲冑の主は、アラス・エルメンドルフだった。頭部装甲は開放され、その素顔が露出している。
「
再度放たれたカタリナの号令により、男たちはわずかに姿勢を崩し、待機姿勢へと移行した。
アラスは、自らの忠実な部下である
「諸君! 統合参謀本部からの指令が下った。これより、予定通り
「「「Yes Sir!」」」
部下たちの一糸乱れぬ咆哮のような返答を受け、アラスは重々しく頷く。
「今伝えた通り、今回は『剣墓』だ。一切の妥協を排し、敵へ徹底的な恐怖を叩き込め!」
「「「Yes Sir!」」」
「本作戦に割り当てられた期限は残り少ない。あと数回の出撃を経て、我々は南西部へと撤退する。それまでは私に力を貸し、全力で任務を遂行してくれ!」
「「「Yes Sir!」」」
部下たちの熱い忠誠を前に、アラスは一瞬だけ視線を落とし、押し殺したような声で言葉を繋いだ。
「……任務の内容について、各々思うところはあるだろう。だが、統合参謀本部からは、我々の行動が確実に効果を上げ始めているとの報告が入っている。精神的に過酷な任務だとは分かっているが、どうか堪えてほしい。……すまんな……」
隊長としての苦渋が滲む言葉だった。
「大佐。我々は全員、相応の覚悟を持ってこの任務に臨んでいます。どうか、私たちに謝らないでください」
部下たちを代表するように、副官のカタリナが凛とした声で告げる。後ろに控える男たちも、無言のまま強く肯首した。
「そうか……すま、いや、ありがとうな。――では、各機搭乗開始!」