【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第九十話 策略
Part-A


 第11遠征空母打撃群(11th ECSG)は、統合参謀本部の指定した星系へと到達。周囲の宙域を念入りに哨戒した後、球形陣の中心に位置していた強襲揚陸艦を惑星に向けて送り出した。

 

 強襲揚陸艦LHD-503『キアサージ』のHF格納庫では、整備員たちが課された出撃前チェックを慌ただしく進めていた。並び立つHFイーグルの背には、不気味な黒いマントが装備されている。

 

 黒マントは『ナイトメア』部隊にしか支給されない、まさに恐怖を象徴する特異な装備だった。その存在は味方にすら秘匿されており、ご丁寧にも機体表面の認識番号などはすべて削り取られ、どこの所属であるかも判別できないよう隠蔽されている。通常任務に戻る際には再度塗り直すという、徹底した情報統制ぶりだ。

 

 その巨大な格納庫の片隅に、パイロットスーツに身を包んだ屈強な男たちが一列に、計14人整列していた。彼らの正面には、同じパイロットスーツを着用した小柄な女性が毅然と立っている。

 

 静寂が満ちる中、彼らの前に全身を黒い動甲冑(Powered Suit)で包んだ男が現れた。ズシュン、ズシュンと駆動系特有の重苦しい足音を響かせ、男は列の正面で足を止める。

 

気をつけ(Attention)!」

 

 小柄で白いロングヘアの女性――カタリナ・アヴィアーノが、鋭く張り詰めた号令を発した。

 

 背後に並ぶ屈強な男たちが、一斉に寸分の乱れもない直立不動の姿勢を取る。

 

「ああ、楽にしてくれ」

 

 黒い動甲冑の主は、アラス・エルメンドルフだった。頭部装甲は開放され、その素顔が露出している。

 

休め(At ease)!」

 

 再度放たれたカタリナの号令により、男たちはわずかに姿勢を崩し、待機姿勢へと移行した。

 

 アラスは、自らの忠実な部下である第2騎士師団(2nd Cavalry Division)HF部隊の隊員たち――いや、『今』この瞬間においては、『ナイトメア』部隊の構成員となった彼らを静かに見渡す。

 

「諸君! 統合参謀本部からの指令が下った。これより、予定通り悪夢作戦(オペレーション・ナイトメア)を開始する!」

「「「Yes Sir!」」」

 

 部下たちの一糸乱れぬ咆哮のような返答を受け、アラスは重々しく頷く。

 

「今伝えた通り、今回は『剣墓』だ。一切の妥協を排し、敵へ徹底的な恐怖を叩き込め!」

「「「Yes Sir!」」」

「本作戦に割り当てられた期限は残り少ない。あと数回の出撃を経て、我々は南西部へと撤退する。それまでは私に力を貸し、全力で任務を遂行してくれ!」

「「「Yes Sir!」」」

 

 部下たちの熱い忠誠を前に、アラスは一瞬だけ視線を落とし、押し殺したような声で言葉を繋いだ。

 

「……任務の内容について、各々思うところはあるだろう。だが、統合参謀本部からは、我々の行動が確実に効果を上げ始めているとの報告が入っている。精神的に過酷な任務だとは分かっているが、どうか堪えてほしい。……すまんな……」

 

 隊長としての苦渋が滲む言葉だった。

 

「大佐。我々は全員、相応の覚悟を持ってこの任務に臨んでいます。どうか、私たちに謝らないでください」

 

 部下たちを代表するように、副官のカタリナが凛とした声で告げる。後ろに控える男たちも、無言のまま強く肯首した。

 

「そうか……すま、いや、ありがとうな。――では、各機搭乗開始!」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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