【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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Part-C

「そうか。お前たちが直々に相手をしてくれるというわけか」

 

 アラスが不敵に呟く。これまで『ナイトメア』部隊が彼女たちと直接刃を交えたことは一度もない。

 

 敵HFの総数は、こちらの戦力を上回る計22機。そして同時に、カタリナからの通信が激しいノイズと共に途絶した。上空からの霊電子戦サポートは期待できない。

 

 しかし、アラスの胸に去来したのは絶望ではなく、歓喜だった。

 

「各機! こちら01! 数は向こうが優勢だが、お前たちの敵ではない! いつも通り、容赦なく蹂躙せよ!」

 

 コックピットに隊員たちの猛々しい了解の声が響く。

 

 目の前にいるのは、ANU軍が血眼になって捜索していた宿敵だ。ここで奴らを一網打尽にできれば、LBU軍の進撃を根底から挫くことができる。これ以上ない最高の好機だった。

 

「中心の隊長機は俺が引き受ける! 残りは任せたぞ!」

 

 青いHF群のなかでも、中央に鎮座する一機だけは明らかに異質なシルエットをしていた。

 

(あれが……噂に聞く『聖青の戦姫(バルキリー・オブ・セントブルー)』か)

 

 鮮やかな青いドレス状の外装に部分装甲を組み合わせ、頭部には両側に羽飾りのあしらわれた兜を戴く、洗練された女性型のHF。統合参謀本部から配布された秘匿資料の記述通りだ。旧帝国時代に開発された女性型機体に酷似しているという。

 

(すまないが、生け捕りにさせてもらうぞ、お嬢ちゃん)

 

 彼らの精神的支柱である戦姫さえ無力化して捕縛すれば、この局地戦は即座に決着する。アラスの駆る、黒いマントを羽織った専用機HFF-15E ストライクイーグルが、背中にマウントされた巨大な両手剣へと手を伸ばした。

 

「――では、作戦開始!」

 

――

 

「とうとう罠にかかったわね、……『ナイトメア』」

 

 『聖青の戦姫(バルキリー・オブ・セントブルー)』のコックピット内で、横田ユイは静かにほくそ笑んだ。

 

 スージーが仕掛けた周到な策略は完璧に機能した。母艦である『伊ー400』に全HFを収容したと見せかけ、あえて空荷の状態で偽装出航した。追跡者(チェイサー)の目を引きつけた母艦は、今頃別の星系へと跳躍しているはずだ。

 

 ユイたちは、最新式の熱光学迷彩に加え、もう一つの新機能――特殊ナノボットを用いたエーテルステルスを展開して地表に潜伏していた。これは、先日の赤壁戦争の際に鹵獲した連邦製のエーテルステルス用特殊布を、皇国の技術陣がリバースエンジニアリングして実用化した最新技術だった。

 

「まあ、アイドリング状態の低霊子出力でしか維持できないのが玉にキズなんだけどね」

 

 HFが戦闘出力を上げればステルスは即座に崩壊するため、ユイたちは接敵と同時に機能を解除した。

 

 現在、遥か上空では双方の霊電子戦機による熾烈な霊電子戦が展開されているはずだ。こちらが優勢を保っているうちに、この地上の敵を殲滅せねばならない。

 

「あれが……『ナイトメア』の隊長機ね……」

 

 正面に立ち塞がるのは、銀色の重装甲に煌びやかな金のラインが走るHF。ストライクイーグルと呼ばれる上位機種だ。その機体もまた、禍々しい黒いマントを纏い、巨大な大剣を携えていた。

 

「LBU軍全機! こちら聖青の戦姫です! 『ナイトメア』の隊長機は私が仕留めます! 各員は他のイーグルたちをお願い!」

 

 自軍へ指示を飛ばすと同時に、黒マントを翻した敵の集団が、一斉に抜刀して前進を開始した。

 

「――戦闘開始!」

 

 

続く

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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