【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第九十一話 激突
Part-A


 戦線の中央において、ユイの機体と『ナイトメア』隊長機が激しく激突した。

 

 ユイの駆るXHFB-70 バルキリーが携えるのは、一振りの長槍(ロングスピア)である。

 

 その長槍は、帝国皇妃ヒルデガルド・ビルケンフェルトから譲り受けた。本来、ユイの得意武器は薙刀だが、『聖青の戦姫(バルキリー・オブ・セントブルー)』の旗印を掲げてからは、あえてこの長槍を愛用し続けている。

 

 薙刀と長槍は、同じ長柄兵器でありながら、前者が「斬る・薙ぐ」ための刃物であるのに対し、後者は純粋に「突く」ための武器だ。その特性の違いは、使用感に小さくない差異をもたらす。

 

 だが、今のユイには磨き上げたテン・シント流槍術の理合と、ヒルダから授かった技があった。一抹の不安もない。

 

 ユイは絶対の自信と共に、ヒルダ直伝の絶技を解き放つ。

 

刺突五連撃(Penta thrust)!)

 

 バルキリーの長槍が神速の連続突きとなり、ストライクイーグルへと叩き込まれる。

 

 しかし――

 

「――っ、硬い……っ!」

 

 敵隊長機に命中したものの、イーグルの強固な重装甲の表面を削り取るに留まり、決定的な有効打には至らない。

 

 当然、装甲の継ぎ目や隙間を正確に狙い澄ました一撃だったが、敵の機体は微小な動作によって軌道を微妙にずらし、ダメージを最小限に抑え込んでいた。

 

 さすがは精鋭を率いる隊長機、並大抵の技量ではない。

 

 バルキリーの兵装は長槍であり、敵が構える大剣よりも間合いが広い。リーチと軽量さを活かした機動力ではユイが勝り、純粋な装甲厚とパワーでは敵に分があった。大剣の間合いに踏み込まぬよう、長槍の石突に近い部分をホールドし、その絶対的なリーチを最大限に生かして立ち回る。

 

 絶妙な間合いから鋭い刺突を何度も繰り出すが、敵の分厚い装甲をどうしても撃ち抜けない。かといって焦って踏み込みすぎれば、大剣の絶対制空圏に陥り、機体の胴体を真っ二つに両断されかねない。

 

 敵の猛攻は圧倒的な機動力で躱し、こちらの鋭撃は強固な装甲で受け流される。一進一退の緊迫した攻防が、戦場の中央で繰り広げられた。

 

 戦況が膠着しかけたその瞬間、敵の隊長機が奇妙な行動に出る。

 

 携えていた大剣を、地表に向けて勢いよく突き刺した。その佇まいは、まさに『剣墓』そのものの光景だ。

 

「――え?」

 

 ユイはその不可解な挙動の意図を掴めない。

 

 謎の行動を見せた敵機は、突き刺した大剣の柄を両手で固く握りしめる。

 

 次の瞬間、敵機は大剣のブレード下部を、強烈なキックで思い切り蹴り飛ばした。シャベルの要領で地表の土砂が力強くえぐり取られ、爆風のような土煙となって、バルキリーの視界へと容赦なく襲いかかる。

 

 実戦的な、文字通りの目潰しを狙った戦術。その意図を瞬時に理解した瞬間、ユイの胸中に珍しく激しい激昂が燃え上がった。

 目潰しそのものにではない。それによって、こちらが怯むだろうと、思われたことに対してだ。

 

「――なめるなァ!!」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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