【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ   作:ガルカンテツ

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第九十二話 合流
Part-A


「では、勝利を祝して! 乾杯!」

「「「カンパーイ!!」」」

 

 祝勝会と称して集まったのは、『聖青騎士団(オーダー・オブ・セントブルー)』の面々。『聖青の戦姫(バルキリー・オブ・セントブルー)』こと横田ユイの乾杯の音頭に合わせてグラスを掲げた。

 

 『ナイトメア』戦の後、しばらくして、ユイが艦長であるスージーに呼び出される。何か仕事があるのかと思ったが、意外な指示を受けた。

 

「祝勝会?」

「そ」

「え、そんなことしてる場合じゃ……」

 

 今はまだ戦争中で、これから次の星系に向かうための準備中だ。ユイがブリッジを見渡すと忙しく動き回っているクルーが見える。

 

「いいの! あんたら連戦で疲れてるでしょ。たまには羽を伸ばしてきなさい。会場と料理は予約しておいたから」

 

 スージーによると、祝勝会場と言ってもただの食堂で、料理は星菱レイが用意しているとのことだ。いつのまに。

 

「でもー……」

「今忙しいから、さっさと行ってね。しっしっ」

 

 抵抗するユイだったが、ブリッジから追いだされた。

 

 そうして集まった男女9名。食堂のテーブルを囲んで、わいわいがやがや。

 

「このカラアゲ? って美味いな。これもレイが作ったのか?」

「うん。鶏もも肉に片栗粉をまぶして油で揚げたものだよ」

 

 ジョージ・ホワイトマンは、唐揚げを食べて、そのジューシーさに驚く。

 

 ジョージとレイは、訓練も一緒で私生活でもつるむことが多く、この半年でかなり仲良くなった。なにせ、この『伊ー400』のクルーは殆どが女性で、男性は4人のみだ。仲良くもなろう。

 

「フライドチキンの一種か。レイは料理がうまいとは聞いていたが、さすがだな。肉汁があふれて美味いぞ」

「どういたしまして。解体したばかりの鶏だからね。新鮮で美味しいよ」

「ほう。……解体?」

「うん。惑星で生きた鶏を貰ったからね。首切って解体したばかりだよ」

「……レイが?」

「そうだよ。あ、ちゃんと血抜きはしているから心配しないでね」

「お、おう……」

 

 レイの意外なスキルに驚くジョージ。幼い頃、剣術の師範に教わったらしい。命を頂くことを実感するためとか。ワイルドだ。

 

 ちょっと引いているジョージの首に、腕を絡めてきた三沢ゴウガ。

 

「ジョージーぃ! 飲んでるか~」

「……ゴウガ酔ってるのか? これノンアルなのに……」

 

 聖青騎士団のメンバーが飲んでいるのは、ノンアル飲料だ。彼らは一応成人ではあるが、まだ待機中なので酔っぱらうことはできない。

 そもそも、体内にある健康管理用ナノボットによって、アルコールは即座に分解されるため、酔いたいなら、いちいち機能を切ることが必要だ。

 

「かわいそうに、髪の毛を切られるほうがよっぽど辛いさ~」

 

 と、言ってユイの頭を撫でる舞鶴シュユ。

 

「いや、切られたのはHFの方だからね? こっちは何ともないからね?」

 

 ユイは困った顔をしているが、シュユにされるがままになっている。

 

 『ナイトメア』隊長機を倒す瞬間や黒マントを掲げている映像は、局所泡連合(LBU)軍内だけでなく、北東部全体に伝わっている。

 人々の中で、『ナイトメア』が植え付けていた恐怖は霧散され、歓喜の声が広がっていた。

 

「ユイが大剣を避けたとき、切られた金髪がフワッと広がって、まるで宗教画のように、とても美しかったですわね……」

「もう、フィーまで……」

 

 フィーこと、デルフィーヌ・ランディヴィジオがうっとりとした顔を見せる。

 

 高画質で広まった映像の中で、特にユイが駆るHFバルキリーと、『ナイトメア』隊長機の戦闘が話題になっている。ロングヘアを模した鋼線が切られても、即座に反撃して倒した場面、その美しさも相まって称賛されていた。

 

 映像の話で、ふと思い出したユイがレイに聞く。

 

「そういえば……レイ」

「ん?」

「あの映像ってレイが撮ったのよね?」

「うん。ボクが撮りました」

 

 まるで「この野菜は私が作りました」のような顔で親指を立てる。確かにレイのHFからガンカメラで撮られた映像だが、戦闘中なのに、ずっとユイを注目というかガン見しているようだった。

 

「今回だけじゃなく、いつもアタシを撮ってるんじゃないでしょうね?」

「……ソンナコトナイヨ」

「んん~?」

 

 何故か目を反らすレイ。詰め寄ろうとしたユイの元に、横須賀リンがタッパーを持ってきた。

 

「どしたのリン」

「うん、自室にいるアラヤにも料理を持っていこうと思って」

 

 この場に唯一来ていなかった佐世保アラヤは自室に籠っている。

 

「レイ君、料理タッパーに詰めて持って行っていい?」

「いいよ」

 

「そういえばアラヤ来てないわね?」

「彼、こういう騒がしい場は苦手っぽいのよね」

「そうなの? 意外ね。あんなに俺様な感じなのに」

「結構、陰キャなのよ」

 

 皆がわいわい楽しくやっているが、テーブルの隅で、もそもそ食べているミリィ・メイポート。見かねたソフィア・エルスワースが声を掛ける。

 

「ミリィ、どうしたの? お腹痛い?」

「いえ、ちょっとスージー先生から気になることを聞いて……」

「気になること?」

「ビリーが任務で北東部に入ったそうです……」

 




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【完結】NGチルドレン【EVAFF】もよろしくお願いします
https://syosetu.org/novel/323311/
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