【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
ゲティスバーグ星系州は、くじら座タウ星を恒星に持つ。
タウ星は、人類発祥の地、太陽系から非常に近く、約11.9光年の距離にある。
いくつかの惑星がハビタブルゾーンに位置しており、その惑星もスーパーアースと呼ばれる種類で、当初生命の存在も期待された。
だが、人類は諦めない。その惑星で様々な
現在は、ペンシルベニア星と名付けられ、地球自由連邦ゲティスバーグ星系州の州都となっている。ペンシルベニア星は、地球の次に歴史のある居住惑星となり、今は緑あふれる自然公園として、観光産業を中心とした星となった。
地球と同様に辺境のため、あまり重要視される星では無い。だが、『局所泡南北戦争』後、状況は一変する。
辺境中の辺境であった太陽系に、
主要航路から外れて放置されていた太陽系は、一気に物流の中心地へと変貌する。
そしてその近距離にあるゲティスバーグ星系州も重要星系になった。
ANU軍は、現在LBUの支配下にある、この星系を奪い、太陽系への足がかりにしようとしている。もしLBUが北東部を完全に支配してしまうと、
ANUは、なんとしてもゲティスバーグ星系を手に入れる必要があった。
そのゲティスバーグ星系を飛翔するHFF-117ナイトホーク。そのコックピットでラファエル・フランシスが唸る。
「くそ、敵の霊電子戦艦がうじゃうじゃいやがる……」
ラファエルは、この星系に先行偵察に来ていた。母艦であるSSN-5772『グリーンビル』は、敵に見つからないように、遠くで潜んでいる。
彼らは統合参謀本部の指令で、ここに来ていた。それまでは『
――
「姐さん! 作戦中止ってなんですか!」
『グリーンビル』の艦橋に怒鳴り込んだラファエル。姐さんと呼んだイザベラ・マルムストローム艦長は、めんどくさそうに返事する。
「なんでも何もないわ。追跡任務は中止よ」
ナイトホークで追跡していた偽姫の母艦が
「なんで中止なんです!?」
「アンタが追跡してた偽姫の母艦だけど、どうやら
「え? から?」
「統合参謀本部から連絡がきたわ。偽姫のHFは惑星に残っていて、母艦だけが離れたそうよ。アンタはHFが乗ってない母艦を追跡してたってわけ」
「そ、そんなばかな! 確かにHFの反応が消えてから出航して……」
「格納したように見せかけたのね。アンタは騙されたのよ」
確かに地上に降りた母艦にHFが集まって、すぐに霊子反応が消えたことを確認している。確かに直接見た訳ではないが。
「あれが、見せかけだった?」
「そうね。空荷で出発したのは、罠にかけるためね」
「そんな……」
「これは追跡していることがバレてるわ。だから作戦中止」
淡々と話すイザベラ。しかしラファエルは納得できない。
「じゃあ、偽姫の母艦はHFなしじゃないですか! 攻撃のチャンスです!」
そう言って詰め寄るが、艦長席のイザベラは冷たかった。
「ダメよ。統合参謀本部からは、待機を命令されてるわ。それにアンタのHFだけじゃ、無理でしょ。……お母さまの言う通り、やっぱり『赤髪の魔女』に関わっちゃいけなかったのね……」
「でもっ、姐さん!」
「フランシス少尉。いえ男爵子息。私に逆らうの?」
階級と爵位に言及された。絶対貴族主義では、上位の命令は絶対だ。
「……いえ、申し訳ありません。マルムストローム侯爵令嬢」
「必ず次はあるわ。体を休めておきなさい」
――
そして次の任務がゲティスバーグ星系の哨戒だった。ラファエルは慎重に敵の霊電子戦艦の位置を
「くそっ! これも偽姫どものせいだ! 絶対復讐してやる!」
続く