【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
Part-A
ゲティスバーグ星系外縁部に、多数の光点が現れた。光は徐々に増え、まるで球状星団のように煌めく。
その光は
ANU軍艦隊は、
その連合艦隊を束ねる旗艦は、最新鋭空母CVN-1068『ニミッツ』。『局所泡南北戦争』開始後に建造された新造艦で、『キティホーク』級を超える全長1,600mにも及ぶ巨大な艦船だった。
「全艦、着空完了!」
「担当部門は、艦内チェックをしてください!」
「艦隊内
『ニミッツ』の艦橋が、各オペレータの声でざわつく。そんな中、広域
「広域霊探に感あり! 複数の高霊子反応! 対艦魔術攻撃『トマホーク』と思われます! 数は10……いえ、12です!」
報告を受けた艦隊司令チェスター・エルメンドルフ提督は、落ち着いた口調で指令を出す。
「
「Aye, aye, sir! 全艦対魔術防御! 巡洋艦は、
副官が復唱した命令が次々に展開されていく。対艦魔術攻撃による飽和攻撃を受けながらも、スタッフは冷静だった。
巡航対艦魔術攻撃ナンバー109『トマホーク』は、射程と威力こそ大きいが飛行速度は遅く、迎撃する時間は十分にある。
艦隊防空を担う巡洋艦が、全力で重力子爆雷を散布する。『トマホーク』の予想進路上に無数の爆雷をばらまいた。
重力子爆雷は、対艦魔術攻撃に対抗するために開発された兵器だ。重力子魚雷より安価で、大量に作製できる。
対艦魔術攻撃の進路上にばらまくことで、魔術の霊子を減衰させ、威力を低下、あるいは消滅させることを目的としている。
『トマホーク』の接近に反応した重力子爆雷が次々に爆発し、重力子による空間の爆縮を引き起こす。直撃を受けた対艦魔術攻撃は消滅し、至近を通過したものも霊子を減衰させられ、複数回の爆発を受けて消え去った。
しかし、それでも切り抜けてくる『トマホーク』が2発ある。巡洋艦や空母からも重力子砲を撃つが、なかなか命中しない。
空母の至近まで到達したが、その間には神盾艦が割って入る。対艦魔術攻撃は舷側にある巨大な盾に命中。大爆発を起こすが、盾に仕込まれた
多重魔術攻撃防御策により、空母に被害はない。完全に防ぎ切った。
しかし、それでは終わらない。チェスターは即座に次の指令を出す。
「
対艦魔術攻撃の射出地点は即座に艦隊へ共有され、駆逐艦や哨戒機が殺到する。計6隻の敵艦を追い詰めた。ここで逃せば今後の脅威となるため、確実に仕留めたい。
「やはり攻撃してきましたね」
「うむ。事前の情報通りだな」
副官に答えるチェスター艦隊司令。事前にゲティスバーグ星系の戦力を霊電子戦艦で哨戒させていた。これまで何度も対艦魔術攻撃に苦しめられてきたため、対抗策を携え、提督自らANU本土から北東部へ遠征してきたのだ。徹底した訓練を重ねたことで、対艦魔術による飽和攻撃にも冷静に対処できた。
――
敵艦予想地点周辺で、セーラー服(この場合、学生服ではなく水兵服のこと)を模した装束装甲を持つ人型対霊哨戒機HFP-3C『オライオン』が、棒状の霊銀を仕込んだソノブイをばらまく。多数のソノブイから霊波が発せられ、敵艦を探る。
『オライオン』のパイロットで、対霊戦に特化した魔女が感覚を研ぎ澄ます。
「……見つけた!」
魔女は即座に座標を味方へ伝達。連絡を受けた駆逐艦が殺到し、重力子魚雷などで敵艦を撃沈した。
――
「司令、敵艦6隻を撃沈しました」
「ふん。賊軍が調子に乗りおって。
霊電子戦艦の主任務は、あくまで霊電子戦だ。姿を隠して任務にあたることが重要であり、自ら攻撃することはない。これまでも自衛用の魚雷を持つだけで、対艦武装はしていなかった。
LBU軍は新規開発された対艦魔術を用いることで、攻撃にも転用できる攻撃型霊電子戦艦を開発した。しかし、それは諸刃の剣でもある。攻撃をすれば居場所を特定されるということだ。位置を特定された霊電子戦艦は無力だった。
「では、ペンシルベニア星への強襲揚陸戦を準備せよ。周囲への哨戒も怠るなよ」
「Aye, aye, sir!」