【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
ゲティスバーグ星系州は、人類発祥の地である太陽系に近く、早い段階で入植が進められた。その後、植林も進み、惑星全体に森が形成されている。
木材は銀河国家群でも貴重品で、高値で取引されていた。この星の主要産業は観光とともに林業があり、伐採された木材は宇宙港から大型貨物船で運び出される。
ペンシルベニア星に州都があるが、州都といっても規模は大きくない。軍民共有の宇宙港があり、その周囲に施設があるだけだ。
州都の南側には大きな丘があり、一帯には針葉樹の森が広がっている。
ANU軍の強襲揚陸部隊は、州都の西、北、東にある平地へ揚陸を行う予定だ。先行してHF部隊が強襲する。
HF部隊は
総HF数は42機。本来、騎士師団のHF部隊は16機編成で3部隊であれば48機だが、これまでの戦闘でパイロットを失っている。それでも州都のLBU軍基地にあるHF反応は28機で、こちらが戦力で上回っていた。
ビリー・エドワーズが指揮する部隊は、州都東側に展開予定だ。遠征空母打撃群の球形陣中央から強襲揚陸艦が進出し、惑星の低軌道へ遷移した。地上からの攻撃はない。
州都上空で強襲揚陸艦のハッチが開放され、次々とHFイーグルが飛び出していく。ビリーも、大気圏突入用の耐熱シールドを敷き、ストライクイーグルを降下させた。
普段は重力制御を使用するが、今回の強襲揚陸では使用しない。これまで何度も訓練してきたが、実戦での強襲降下は初めてだ。
大気圏降下時の断熱圧縮による熱は耐熱シールドで遮断されており、さらに霊子による強化も施されているため、破壊されることはない。だが、激しい振動がHFを揺さぶり、不安は募る。
高度が下がったところで重力制御を使用し、急速に落下速度を落とす。すると同時に、LBU軍からの砲撃が始まった。この霊子出力が弱まる瞬間こそ、強襲降下で最も危険な時間だ。敵の霊銀徹甲弾が、何度かシールドを掠める。
どうやら撃墜された味方はいないようだ。高重力下では霊銀徹甲弾も威力が弱体化する。それではHFイーグルの重装甲は貫けない。
着地したストライクイーグルの重力制御を切る。意識をHFと同調した瞬間、装甲の重量をズシンと感じた。足元も地面に少しめり込む。
ペンシルベニア星は、いわゆるスーパーアースだ。居住惑星の基準である地球の約1.5倍の重力があり、
ビリーが感じる重力も1.5Gだ。重装甲HFの体は普段以上に重い。他の隊員もその重力に戸惑っていたが、それでもHFの圧倒的なパワーでなんとか立っていた。
普段とは違う状況でも隊列を組み、LBU軍基地へ向けて進軍する。
地響きを奏でながら、42機のイーグルが州都を包囲する。HF隊のリーダーであるアラス・エルメンドルフが降伏勧告を行った。
州都東側に陣取り、ANU軍旗をはためかせながら待機するビリー隊。
しかし、制限時間になっても応答はない。アラスの命令が下る。
『時間だ。進軍開始』