【第二部開始】人型機動兵器ヒューマンフレーム・ゼロ 作:ガルカンテツ
進軍命令を受け、全HFが歩き始める。目標はLBU軍基地の制圧だ。敵HFを倒さなければ、地上軍を降ろせない。
敵の砲火が襲うが、HFはビクともしない。無駄な抵抗だ。被弾も構わず進むと、基地から敵HFが飛び出してきた。機種はHFF-16ファイティングファルコン。HFF-15イーグルよりも軽装甲で、機動力が高い。
赤いマントのイーグルと青いマントのファイティングファルコンが激突する。凄まじい衝撃波が周囲一帯へ広がり、地面を抉った。
ビリーも一機のHFF-16とぶつかる。パワーはこちらが上のようだ。敵HFを弾き飛ばす。だが、敵はすぐに体勢を立て直し、機動力を生かして背後へ回り込む。
それを視界に捉えつつ、2本の両手剣バンカーバスターを構える。
「――Eagle spiral(鷲の旋回)!」
背後に回り込もうとした敵HFは、横薙ぎに振るわれた大剣を慌てて躱す。だが、左の大剣を躱したと思った次の瞬間、右の大剣が襲い掛かった。
最初の大剣を避けた際にバランスを崩し、追撃をまともに食らってしまうファイティングファルコン。胴体を切断され、大破した。
高重力には戸惑っていたが、どうやら戦闘に支障はないようだ。ビリーは2本の大剣を構え直し、周囲の味方HFを確認する。
どうやら他の隊員も善戦しているようで、目立った被害はない。そもそも数ではこちらが上回っている。勝利は確実だろう。
そう思っていると、敵HFが撤退を始めた。互いを援護しながら、組織的に基地へ下がっていく。当然、追撃を行うが、LBU軍はなんと南側の森林地帯へ逃げ込んだ。
「な、なんだ?」
どうやら他の部隊も同じ状況のようで、東側、北側、西側の敵HF部隊も同様に南部へ移動したらしい。守るべき基地を捨ててまで向かう意図が分からない。ビリーは訝しむ。
「何かの罠か?」
リーダーのアラスも同じ考えなのか、追撃はせず、一旦待機命令を出す。
斥候に基地内を探索させたが、もぬけの殻だった。HFどころか、人っ子一人いない。LBU軍はすべて南部へ逃げ込んだようだ。
地上軍を降ろしたいが、敵HFを残したままでは問題がある。南部の敵をどうにかしなければならない。
アラスは、南部の丘陵地帯を包囲することにした。丘陵地帯には背の高い針葉樹が生い茂っている。その高さは50m以上もあり、40mのHFでも身を隠すことが可能だ。木々の間隔は狭く、周囲からは森の内部を見通せない。
そのとき、アラスからビリーのもとへ通信が入る。
『どう思う? ビリー』
どうやら、同じ師団長としての意見を求めているようだ。
「そうですね。罠の可能性は高いと思います」
『そうだな……俺も同じ考えだ。だが、何が狙いなんだろう?』
「戦闘では、どうしても防衛側が有利になります。あの森に防御陣地を構築しているのではないでしょうか」
『ふむ、この撤退は計画されたものということか……ちょっと待て、通信が……。ビリー、西側の部隊が突入を開始したらしい』
どうやら西側で待機していた部隊が、森から銃撃を受け、反撃のため突入を開始したらしい。その部隊は
アラスは、その勝手な行動に憤慨する。
『くそっ、勝手なことを!』
「でも、このまま包囲しているだけでは埒があきません。攻撃を仕掛けて敵の状況を把握するのもいいかもしれません……」
『なるほど、威力偵察ということか。では全部隊で攻撃を仕掛けてみよう』
「はっ!」
──
ANU軍のHF部隊は、南部の丘陵地帯への攻撃を開始した。
数機のHFでチームを組み、昼なお暗い森の中へ踏み入れる。HFよりも高い木々は間隔が狭く、イーグルでは思うように動けない。
先頭を歩いていたHFが、突然転倒した。
『なんだ!?』
他のHFが駆け寄ると、イーグルの足にワイヤーが絡まっている。
『せこい真似を。今外します』
味方が足に絡まったワイヤーを外そうとしゃがむと、近くの地面が跳ね上がった。中から現れたのはHFF-16ファイティングファルコン。LBU軍のHFが地面に潜んでいたのだ。
HFF-16は剣を構え、しゃがんでいたイーグルへ突き刺す。装甲の隙間を狙った攻撃は的確にダメージを与え、イーグルを大破させた。
『このやろう!』
そばにいたイーグルが、突如現れたLBU軍HFへ攻撃を仕掛ける。だが、抜剣したバスタードソードは木に引っかかり、うまく斬撃できない。
対して敵HFは、刺突を駆使して木々を避けながら攻撃する。ファイティングファルコンはイーグルよりも機体が細く、木々の間も自在に動ける。この状況を想定し、事前に訓練していたのだろう。
『一旦撤退しろ!』
ワイヤーに掛かっていたチームリーダーの命令で、味方が下がる。それを確認すると、リーダーは
同じ状況は丘陵地帯全体で発生している。包囲したまではよかったが、いまだ突破口は見つからない。
どこか侵入できる場所はないかと探すうち、包囲網は徐々に広がっていく。
丘陵地帯を西、北、東の3方向から囲むANU軍HF隊の隊列は伸び、次第に薄くなる。すべてのHFが森の方向へ気を取られていた、そのとき。
西側の隊列の端にいたイーグルが吹き飛ばされる。
突如として現れたのは、青いHF。
『
長槍を構えたXHFB-70バルキリーの外部スピーカーから、『
続く